設計・技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 02:27 UTC 版)
誉の設計はベースとなった栄の設計を引き継ぎ、全体をコンパクトに纏めながらも、高出力化に伴って発生する諸問題を解決するために様々な新機軸を織り込んだ意欲的なものであった。 ボア(シリンダー内径)×ストローク(ピストンの移動量)をベースとなった栄と同一の130 mm×150 mmとしたことにより、エンジン直径は1,180 mmに収まった(栄よりは30 mm大きい)。一方、シリンダーの前列と後列の中心間距離は冷却を良くするために栄の150 mmに対して220 mmまで伸ばされた。 前列と後列のシリンダーは正面から見て20度の位相差をもち、前列シリンダーの隙間から後列シリンダーが覗くStaggerという一般的な2列空冷星型エンジンのレイアウトである。 同時期に出現した同等出力の2列空冷星型エンジンに対し、誉の排気量(35.8 L)の小ささは顕著な特徴となっている。例えばアメリカの2,000 hp級エンジンであるプラット・アンド・ホイットニー製R-2800-9は46 L、ドイツのFw190に搭載された空冷星型エンジンBMW製801も41.8 Lである。このように当時の出力/排気量比の水準は40 hp/L台であるのに対して50 hp/Lを狙った誉は極めて野心的なエンジンだったと言える。小排気量で高出力を実現するにはクランクシャフト回転数やブースト圧(吸気圧)を向上する必要がある。そのために誉では離昇回転数を栄二一型の2750 rpmから3000 rpm(誉二一型)に、離昇ブースト圧を栄二一型の +300 mmHgから +500 mmHg(誉二一型)まで高めている。
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