設計指針の策定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 05:50 UTC 版)
本レーダーの設計指針の策定はASMS開発の成否を決する技術上最大の課題であり、特に最初にして最も重要な問題は動作周波数の決定にあった。Xバンド以上では探知距離が不足で、Sバンドより波長が長いと送信設備が過大となるため、選択肢はCバンドとSバンドに絞られた。兵器局 (BuWeps) が推すCバンドはSPG-59で採用されており、低高度目標に対する探知性能に優れ、ECCM性も高く、アンテナを小型にすることができるが、探知距離に不安があった。一方、艦船局 (BuShips) が推すSバンドは現用の3次元レーダーで採用されており、遠距離捜索性能に優れ、天候による影響も小さいが、アンテナは大型化が予想された。当初、SPG-59やSCANFARの反省から、アンテナを小型化できて艤装性に優れるCバンドが有力視されていたが、ウィシントン提督は「多機能レーダーとしては、目標の探知なくしては、他のいかなるレーダー能力も意味を持ち得ない」と洞察して、Sバンドの採用を決定した。この決定により、ウィシントン少将はアメリカの兵器開発史上に不朽の名声を残すことになった。 また、タイフォン・システムではTVM方式によるミサイルの終末誘導までをSPG-59多機能レーダーで行う計画であったのに対し、ASMSでは、ミサイルの終末誘導の機能は多機能レーダーから分離して、スレイブ型の専用イルミネーター(後のAN/SPG-62)を装備することとなった。このほか、レーダー送信管も、SPG-59で使われていた進行波管 (TWT) ではなく交差電力増幅管 (CFA) が採用されることになった。 これらの検討を踏まえて、RCA社では、1965年より本機の開発に着手した。なお1969年、RCA社が主契約者に選出されるとともに、ASMSは正式にイージスと改称した。
※この「設計指針の策定」の解説は、「AN/SPY-1」の解説の一部です。
「設計指針の策定」を含む「AN/SPY-1」の記事については、「AN/SPY-1」の概要を参照ください。
- 設計指針の策定のページへのリンク