計画の成功と失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 15:48 UTC 版)
「進歩のための同盟」の記事における「計画の成功と失敗」の解説
1960年代のラテンアメリカにおける資本当たりの成長率は2.6%となり、進歩のための同盟の目標である2.5%を一応は上回った。1950年代における資本当たりの成長率が2.2%に留まったのとは対照的に、当該地域の資本当たりのGDP成長率が1960年代後半に2.9%近くとなり、1970年代には3.3%にまで加速。ブラジルやメキシコを含む9カ国全体では目標値を達成し、10カ国は目標値に届かず、ハイチのみが低成長を余儀無くされている。 成人の非識字率に関しては、完全に無くなってはいないものの減っている。一部の国では大学進学者数が2倍か3倍にさえなった。中等教育への機会も増加。就学年齢に達した児童の4人に1人に給食が支給されている。学校や教科書、住居を与えられた人は多い。 長期間にわたる改革の端緒を開いたのはこの時期のことであり、土地利用や分配における改善の他、税制、行政改革、米州機構に対して詳細な開発計画を提出したり、中央計画局の創設や住宅、教育の提供が大々的に行えるようになった。ただし、ラテンアメリカにおける1500万にも上る小作人世帯のうち、何らかの形で土地改革の恩恵を蒙ったのは100万世帯に過ぎない。 最低賃金法が制定されたものの、例えばニカラグアの労働者に対する最低賃金は受け取る賃金に対する効果がさして無い程、低く設定されていた。 1960年代のラテンアメリカにおいては、合法的に成立した13もの政府が軍事独裁政権に取って代わられてしまう。ピーター・スミスのような一部作家によると、これこそ進歩のための同盟の失敗であった。スミスは「進歩のための同盟の最も衝撃的な失敗は、政治分野で起こっている。1960年代は改良主義的な文民統制を促したり強化したりするのではなくて、多数の軍事クーデターを生み出している。(中略)独裁者は1968年までに複数の国を支配するに至った。」としている。
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