計数形質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
略称は中坊徹次『日本産魚類検索 全種の同定 第三版 I』による。 鰭条数(きじょうすう) 鰭条数は、鰭式で表す。学術的には棘条をローマ数字、軟条をアラビア数字で表示する。同一の鰭で棘条部と軟条部が分離している場合は「‐」(ハイフン)、連続しているときは「, 」(コンマ)その数字を分ける。また、胸鰭や腹鰭で不分枝軟条数を小文字のローマ数字ⅰ、ⅱ…)、分枝軟条数をアラビア数字で表すこともある。 鰭式(きしき) 鰓の構造は鰭式で表される。鰭式では背鰭をD(dorsal fin)、第1背鰭をFD(first dorsal fin)、臀鰭をA(anal fin)、胸鰭をP1(pectoral fin)、腹鰭をP2(pelvic fin)、尾鰭をC(caudal fin)などの略号を用いて表す(例:マダイの鰭式:D XII,10 ; A III,8 ; P1 15 ; P2 I,5)。 小離鰭は小文字のローマ数字(ⅰ、ⅱ…)と表されることが多い。 側線鱗数(そくせんりんすう、LL) 側線上の1縦列の全鱗数で肩帯に接する鱗(鰓孔の上端付近)から下尾骨後端までの数。 側線孔数(そくせんこうすう、LP) 側線上の1縦列の全孔数で、側線鱗数と同様に数える。鱗がない、もしくは退化的なものに用いる。肛門前側線孔数(こうもんぜんそくせんこうすう、PLp) 鰓孔の上端付近から肛門直上までの側線孔数。ウナギ目でよく用いられる。頭部が延長しているウナギ目魚類では始部は鰓孔よりかなり前にある。 縦列鱗数(じゅうれつりんすう、LR) 側線のない種や側線を中断するものに用いられ、側線鱗数と同様に数える。 側線有孔鱗数(そくせんゆうこうりんすう) 有孔鱗と無孔鱗が側線列上にある場合の有孔鱗数を数える。始点と終点は側線鱗数の数え方と同じ。 横列鱗数(おうれつりんすう、TR) 一般的には、第1背鰭から小鱗も含めて後下方へ腹部正中線まで走る1横列の鱗数。 側線上方横列鱗数(そくせんじょうほうおうれつりんすう、TRa) または 側線上横列鱗数(そくせんじょうおうれつりんすう) 第1背鰭の起部から小鱗を含めて後下方に走る側線鱗の一つ手前までの1横列鱗数。側線鱗を含めない。背鰭棘条部中央下側線上方横列鱗数(せびれきょくじょうぶちゅうおうかそくせんじょうほうおうれつりんすう、TRac) 背鰭棘条部中央の背鰭基底から小鱗も含め、後下方へ側線鱗の一つ手前の鱗まで走る1横列鱗数。 側線下方横列鱗数(そくせんかほうおうれつりんすう、TRb) または 側線下横列鱗数(そくせんかおうれつりんすう) 臀鰭起部から小鱗を含めて前上方に走る側線鱗の一つ手前までの1横列鱗数。側線鱗を含めない。 背鰭前方鱗数(せびれぜんぽうりんすう、Pred.S) 背鰭基部から後頭部に至る正中線上の全ての鱗の数。 頬鱗数(きょうりんすう) 眼から前鰓蓋骨の隅角にいたる線を横切る鱗列数。 尾柄周囲鱗列数(びへいしゅういりんれつすう) 尾柄の最も低い部分の1円周鱗数。チョウザメ科の硬鱗は背側のものをDS、体側のものをLS、腹側のものをVSと表記する。 筋節数(きんせつすう) 筋節の数。幼魚において重要な分類形質。 鰓耙数(さいはすう、GR) 鰓耙数は鰓耙の上枝と下枝に分けて数え、+の符号で区別する。両枝の中央にあるものは下枝に含めて数える。 鰓条骨数(さいじょうこつすう、BR) 鰓条骨(鰓蓋の下方にあり、角舌骨、上舌骨に付着し鰓膜を支えている肋骨状の骨)の数。 脊椎骨数(せきついこつすう) 脊椎骨(背骨を構成する骨)の数。最前の椎体から最後の椎体まで数え、尾鰭を支えるために扇状に広がっている下尾骨を1個として含める。腹椎と尾椎は+の符号で区別する。通常軟X線撮影にて計数される。 幽門垂数(ゆうもんすいすう、PC) 幽門垂は大部分の硬骨魚類に見られ、種により数が安定しているため、幽門垂数はよい分類形質となる。 咽頭歯数(いんとうしすう、Ph) コイ科などでは咽頭歯がよく発達し、その数と列がよい分類形質となる。計数法は外側から列ごとに咽頭歯の数を数える。 体輪数(たいりんすう) タツノオトシゴやヨウジウオがもつ体輪の数。
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