観光資源としての側面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 09:33 UTC 版)
余部橋梁は前述したように、土木学会近代土木遺産Aランクとして評価されており、観光資源としての側面も有していた。とはいえ、架け替え決定以前はそれほど観光客が多いというわけではなかった。しかし2005年に架け替えが正式決定されると観光客は急増した。香美町の統計による余部橋梁の見学客数は、2004年は1万3000人、2005年は8万3000人、2006年は29万人と急激に増加している。ところが実際に架け替え工事が始まった2007年には20万9000人と減少に転じた。こうした事情の背景には、まだ新橋の工事中であるにもかかわらず鉄橋が既に撤去されたものと誤解していた人が多かったためと推測されている。 余部橋梁を見学に来る人は、鉄道ファン、ドライブ・ツーリング客、ツアー客の3つに大きく分類される。鉄道ファンは、余部橋梁そのものが目的地となっており、広く全国から来訪するほか余部で宿泊をすることもあり、地元に落とす金が大きいが、架け替え完了後の動向が不明確である。ドライブ・ツーリング客は特に強い目的があって訪れたわけではないが、架け替え後も周辺の観光資源の開発次第では来訪が望めると分析されている。ツアー客は他の目的地へ向かう途中で立ち寄るという程度であり、滞在時間も写真を撮る程度の長さである。当初から主たる目的地ではないこともあり、余部道路の開通(2010年12月12日)などもあって今後の見通しはやはり不明確である。 地元では、鉄橋を目当てに訪れていた観光客が架け替え後に減少することに危機感を抱いている。そこで兵庫県と地元では「余部鉄橋利活用検討会」を作って架け替え後に旧橋梁をどのように生かすかについての検討を行ってきた。その結果、旧橋梁のうち西側の橋脚と橋桁の一部を残して「余部鉄橋「空の駅」」と称する展望台とし、また「道の駅あまるべ」を建設して余部橋梁の記念施設とする方向となった。さらに地元の住民も自主的に「明日の余部を創る会」を結成して、架け替え後の余部地区の観光振興について検討を重ね、「空の駅」「道の駅」といったハードの整備に合わせて、周辺の地形を活用したウォーキング会を開催したり、道の駅で販売する特産品の開発を行ったりという取り組みが進められている。 道の駅あまるべ内の展示コーナー(2015年9月10日撮影) 同左、余部鉄橋の概要(2015年9月10日撮影) 同左、旧鉄橋模型 展示された橋梁の橋桁
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