血中アルコール濃度と症状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 13:46 UTC 版)
「急性アルコール中毒」の記事における「血中アルコール濃度と症状」の解説
アルコールは大脳を麻痺させる性質を持っている。アルコールを摂取すると、麻痺は大脳辺縁部から、呼吸や心臓の働きを制御する脳幹部にまで進み、最終的には生命維持にかかわる脳の中枢神経までもを麻痺させてしまい、呼吸機能や心拍機能を停止させて死に至る。 エタノールの血中濃度と酔いの態様血中アルコール濃度酩酊度影響0.05% 微酔期 陽気、気分の発揚 0.08% 運動の協調性の低下、反射の遅れ 0.10% 酩酊期 運動の協調性の明らかな障害(まっすぐに歩けない等) 0.20% 泥酔期 錯乱、記憶力の低下、重い運動機能障害(立つことができない等) 0.30% 昏睡期 意識の喪失 0.40% 昏睡、死亡 血中アルコール濃度が0.4%を超えた場合、1〜2時間で約半数が死亡する。急性アルコール中毒患者の45%は20代の若者で、2⁄3が男性、1⁄3が女性である。 上述のように急性アルコール中毒は、エタノールによる脳の麻痺が原因であり、その症状は摂取したエタノールの量と血中のエタノール濃度に比例する。 急性アルコール中毒の発生は、この「お酒に強い体質」と「お酒に弱い体質」とは関係がない。あくまでも血中のアルコール濃度、つまり飲んだアルコールの量に比例し、誰でもが陥る急性中毒である。なお一般的に、エタノールの体内での代謝過程で生成されるアセトアルデヒドのフラッシング反応(英語版)(アセトアルデヒド脱水素酵素による代謝能力の差からくる)の有無を指し「お酒に強い体質」と「お酒に弱い体質」と定義する場合がある。 通常、飲酒すると「ほろ酔い期」「酩酊期」「泥酔期」「昏睡期」という順で、徐々に血中アルコール濃度が上がるので、本人も酔ってきたという自覚がある。また、飲みすぎると足元がふらつく、吐き気がするなどの症状も出るので、自分自身である程度は飲酒量をコントロールできる。しかし、飲酒開始から血中アルコール濃度の上昇までには時間差があるため、短時間で大量の酒を飲むと、酔っているという自覚なしに危険な量のアルコールを摂取してしまうことがある。この場合、「ほろ酔い期」「酩酊期」を飛び越えて一気に「泥酔期」や「昏睡期」に到達してしまう。 飲み始めてから1時間以内に泥酔状態になった場合、および酒量として、1時間に日本酒で1升(1800ml)、焼酎で1080ml、ビールで10本(5000ml)、ウイスキーでボトル1本(750ml)飲んだ場合は、急性アルコール中毒が強く疑われる。放置すると死亡するため、こういった飲み方は絶対しないこと。
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