航空事業者間の連帯輸送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 15:14 UTC 版)
連帯輸送契約の締結されている事業者間では出発空港で搭乗手続きを行うことで、預けた手荷物を乗り継ぐ空港で受け取ることなく最終目的地まで預けることが可能である。乗り継ぎ空港で前便の到着が数分程度遅延した場合は次便が出発を遅らせるか、遅延や欠航によって本来予約した搭乗便での乗り継ぎができない場合は、予約変更ができない運賃であっても搭乗便の変更が認められるなど乗り継ぎ客への配慮を図ることが多い。 また、日本の国内線においては一部の航空会社で航空券の相互発売が実施されていたが、2018年10月に全日本空輸が運賃制度の変更を行ったのに併せ、日本航空などとの間での航空券相互発売の取り扱いが終了している。 航空券の相互発売を行っていた航空会社間では、普通運賃などにおいては搭乗会社の変更(裏書)も認められており、日本航空で発券した航空券で全日本空輸に搭乗することが可能であった。搭乗会社の変更については、現在は航空機の故障など航空会社に原因がある場合に限られ、自己都合や悪天候の場合は一旦払い戻して搭乗会社で航空券を購入し直すこととなる。 連帯輸送契約が締結されており、各航空会社の指定する乗り継ぎ時間以上の乗り継ぎ時間が確保されていれば、自社グループ会社でなくても最終目的地まで手荷物の乗り継ぎ運送が可能である。この場合、搭乗手続きと予約は各航空会社ごとで必要となる。 例えば日本航空で「山形空港→伊丹空港」間、全日本空輸で「伊丹空港→高知空港」間を同日中に乗り継ぐ場合、山形空港での搭乗手続きの際に全日本空輸の高知空港行きに乗り継ぐことを申告し、同空港行きの予約が分かるもの(eチケットお客様控えなど)を提示すれば、山形空港から伊丹空港で受け取ることなく高知空港まで荷物を預けることが可能である。 この場合、日本航空の区間(山形→伊丹)を山形空港にて、全日本空輸の区間(伊丹→高知)を伊丹空港においてそれぞれ搭乗手続きすることとなる。さらに、全日本空輸の区間となる伊丹空港で搭乗手続きする際は日本航空(山形空港)で発行された手荷物引換証を提示する必要がある。それを提示しなかった場合は手荷物が積み残されるリスクが生じる。 また、羽田空港と成田空港のように同一空港でない場合でも会社が指定していれば可能である。 日本の国内線では、日本航空、日本エアコミューター、日本トランスオーシャン航空、琉球エアーコミューターの日本航空グループ各社と全日本空輸、ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジとの間については連帯輸送契約が適用される。なお、SNA・ORC・AIR DOなど国内線のコードシェア便をANA便名で予約した場合はANA利用とみなされ、ANA利用時と同様に連帯輸送契約が適用となる。 ADO、スターフライヤー(SFJ)、SNA、ORC、ANAについては、ADO・SFJ・SNA・ORC・ANAの5社相互間では連帯輸送契約は適用されるが、ADOまたはSFJとJALグループ各社間については連帯輸送契約は適用されない。IBEXエアラインズ(IBX)はANAとの間でのみ連帯輸送契約を締結している。ADO・SFJ・SNA・ORC・ANAの5社相互間またはIBX・ANAの2社相互間では、最大3区間まで乗り継ぎ区間のチェックインも可能である。 フジドリームエアラインズ(FDA)、天草エアライン(AMX)の2社とJALグループ各社については、JALグループ各社・FDA・AMXの各社相互間では連帯輸送契約は適用されるが、ANA・SNA等との連帯輸送契約は適用されない。FDA・AMX運航便をJAL便名で予約した場合はJAL利用とみなされ、JAL利用時と同様に連帯輸送契約が適用となる。なお、JALグループ運航便とJAL便名のFDA・AMXとの間および、JAL便名のFDAとJAL便名のAMXとの間の乗り継ぎの場合、コードシェア便であっても運航会社ごとにチェックインが必要となる。 スカイマークは2021年3月28日より、JALグループ各社との間で手荷物の連帯輸送を開始した。 また、ピーチ、バニラ・エアなどの一部格安航空会社や新中央航空などのコミューター航空では経費削減の理由から他社との連帯輸送契約を結んでいない場合がある。格安航空会社の場合は自社間との乗り継ぎであっても、手荷物を預け直さなければならない事例もある。Peachのように同一の予約記録で航空券を購入しないと、自社間での乗り継ぎであっても遅延時の変更や払い戻しに応じない会社もある。 連帯運送契約のない航空会社で乗り継ぎの場合は、乗り継ぎ空港でいちいち荷物を預け直すこととなり、遅延して乗り継ぎ便に遅れた場合であっても便宜を図ってくれないこととなる。 航空貨物においても連帯輸送が行われているが、旅客の場合よりも乗継時間が長くかかるのが普通である。
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