耕地整理事業とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ビジネス > 経営 > 事業 > 耕地整理事業の意味・解説 

圃場整備

(耕地整理事業 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 01:59 UTC 版)

圃場整備(ほじょうせいび)とは、耕地区画の整備、用排水路の整備、土層改良、農道の整備、耕地の集団化を実施することによって労働生産性の向上を図り、農村の環境条件を整備することである。農林水産省都道府県公共事業として行われる。

圃場整備の様子
長方形に整った水田

概要

圃場整備は各個人の農地を集団化する換地計画から、分散耕地を集団化するために互いに耕地の権利を交換する交換分合、の生産過剰を抑えるために、水田としても利用できるよう技術的な改良をし、水田の汎用化を図ってきた。

現在では、将来の農業生産を担う経営体の育成を図りながら高生産性農業の展開に必要となる生産基盤を整備し、食料自給率の向上に資することを目的とする経営体育成基盤整備事業として行われている。 事業の内容は区画整理のほか用排水施設、農道、客土、暗渠排水のなかから2つ以上の基盤整備を総合的に行うか、区画整理などと密接に関連があるか、一体で行うことで相互の効率が高まる事業を併せて行うこととしている。

またこの経営体育成基盤整備事業では、採択の際に「農用地利用集積促進土地改良整備計画」(集積促進整備計画)を作成し、採択年度より3年目から完了年度まで「集積促進整備計画」に基づいた審査を受ける必要がある。審査の結果計画達成の見込みが無いと判断された場合は国庫補助の打ち切りの処置がなされてしまう。

圃場の区画は水田の場合、耕作上の最小単位となる耕区と、圃区とよばれる水管理を適正に行いうる形状を備えた最大の区画(一般に10〜15耕区)、農道によって囲まれ、2圃区を1農区とする農区とで構成され、畑の場合は農家の1所有団地の区画である所有区、一連の機械作業の1単位となる区画である耕区、固定施設(道路など)に囲まれた区画である圃区で構成される。

平地に近く広い地域を対象とする場合の区画は、農業機械の操作性が高い長方形が基本形となる。既存の区画整理は10a程度のものが標準であったが、近年機械化作業にともない30a(24×125m)から1ha(80×125m)程度の区画が一般的になった。また、機械の大型化や航空防除の普及により、短辺が80mを越えるもの、長辺が200mを越えるもの、3ha程度の広大な区画も見受けられるようになっている。

近年では、圃場整備で整備された排水施設を利用し、田んぼダムとして周辺流域の治水をになう地域もある[1][2]

留意事項

  • 区画の配置を計画する時、道路は適時便利なように配置する。用排水路は耕区、圃区ごとに独立した水管理を可能にする。用排水は原則として分離するが、農道は幹支線用水路および小用水路に沿って配置する。また畑地については特に侵食防山に配慮する。
  • 水田の場合、事前調査、雑物除去・障害物移転、表土剥ぎ取り、基盤切盛り、基盤整地、畦畔築立整形、用排水路敷設、溝畔盛土整形、道路盛土整形、表土戻し、仕上げ整地、道路舗装、暗渠整備という流れで施工が行われる。
    • 表土剥ぎ取りから表土戻しまでの一連は表土扱いと呼ばれ、現況の耕土を基盤土と別個に扱うことで、耕作に必要な肥料を含む耕土をほ場整備後も有効に利用するためである。この時、必要な厚さの耕土が確保できない場合は、道路用地や水路用地などから、耕土を客土することがある。特に中山間地域ではおおむね切盛高が大きくなるため、この作業は必須である。
    • 耕区内がおおむね平坦で切盛高が少なく、且つ十分な耕土厚が確保できると見込まれる場合には、基盤には手を付けず耕土部分のみを整地する場合もある。
    • 水路は管水路と開水路があり、開水路の場合は価格や施工性からコンクリート製のU字溝が多く使われる。一部事業では環境型と呼ばれる魚の待避場を設けた製品が使用されることもある。管水路の場合は、ポリ塩化ビニル管、高密度ポリエチレン管、FRPM管、ヒューム管などが使用場所や用途によって使い分けられる。暗渠排水には素焼土管が用いられることもある。
      • 特に用水路では通常時に水路敷内の草刈りや泥上げが必要なくなり、水量の管理もしやすくなるため、管水路が好まれる傾向がある。

圃場整備によって期待できる効果は次のとおりである。

  • 道路幅の拡幅や小さいを大きな区画に整地することにより、大型で高性能な機械を導入することが可能になり、労働力の軽減や採算性が向上する。
  • 耕地が等質に整備されることにより、農作業の協業化や農地の有効利用が図られる。
  • 農業用の用・排水(灌漑)施設の維持管理の負担が減少する。
  • 排水路の通水断面の向上、効率化により、洪水被害を回避、軽減できるようになる。
  • 田んぼダムとして利用することで、周辺流域の洪水被害を回避、軽減させることができるようになる。
  • 換地や農地の集約をすることで公共用地の円滑な捻出ができる。
  • 農作業の省力化により、次世代の担い手を確保することが出来る。
  • 日本住血吸虫対策となる。

圃場整備によっておこりうる問題点は次のとおりである。

  • 換地に際して農民の間で不平不満が生じる場合がある。
  • 地域の農業収入に見合わないコストが掛かる場合がある。
  • 適切な計画が無いままに施工し、肥沃な土壌が喪失する場合がある。
  • 旧水路に生息していたメダカ等の動物や植物などが、環境の変化によりその生態系が破壊される場合がある。
  • 棚田などの美しい景観が失われる場合がある。

脚注

関連項目


耕地整理事業

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 00:59 UTC 版)

中浜村」の記事における「耕地整理事業」の解説

耕地整理事業大正2年1913年では耕地整理組合組織して11月14日郡役所へ耕地整理事業を申請12月2日認可得た郡役所大正4年1915年施行にあたって技術員を配置して指導した耕地整理組合組合長 - 本角文蔵 副長 - 長山善完 評議員 - 永沢浜田細川万吉栄次郎、永見徳一、角重孝、岡田虎蔵、字城敬徳、永井次郎松本太郎阿部勘次郎庄司廉 工事の概要工事の期間 - 大正3年1914年1月大正7年1918年12月 経費 - 25704円27銭、整理段別・田、58町6段8畝歩 畑、3349段3畝歩、但し井敷、畦畔插入した面積。 この外に山林雑種地宅地60町8段4畝18歩を加える(『中浜村郷土誌』) 耕地整理より道路の新設改修によって、荷車運搬用具使用が可能となり農家にとって大変便利になった。

※この「耕地整理事業」の解説は、「中浜村」の解説の一部です。
「耕地整理事業」を含む「中浜村」の記事については、「中浜村」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「耕地整理事業」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



耕地整理事業と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「耕地整理事業」の関連用語

耕地整理事業のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



耕地整理事業のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの圃場整備 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの中浜村 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS