翻訳への批評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 08:32 UTC 版)
インターネット上では意訳・誤訳が多いことが指摘されている。『ロード・オブ・ザ・リング』劇場公開版で字幕を担当したが『指輪物語』のファンが日本語字幕の修正や戸田の交代を求め、署名活動をする騒動となった。 映画評論家の町山智浩も、「戸田奈津子の日本語字幕の誤訳の多さについて。今ここに自分が字幕監修する3月公開の映画の原語台本があるが、固有名詞、歴史的背景、専門用語、英語独特の言い回し、ジョークや反語的表現、暗喩について製作側による英語の注釈がついている。これが通常。戸田さんはこの注釈を読んでないとしか思えない」と非難している。一方で通訳者の鳥飼玖美子が西村博之との対談で、戸田奈津子の翻訳におかしな日本語があるとの鑑賞者の指摘に対し、「限られた時間で翻訳を行っており、完璧じゃない字幕があるのはやむを得ない」「努力を評価する」と語っている。 映画評論家の前田有一は戸田が大御所なゆえ原作が有名な作品を担当することも多く、そこで誤訳をしてしまったことで批判者が増え、21世紀になるとインターネットの普及で過去の些細なミスまで掘り返されて過剰に槍玉に挙げられた印象で気の毒であり、1980年代の洋画黄金期の第一人者であった空気が今でも残っていることで仕事の依頼も続き、来るものは引き受ける姿勢でいたら得意分野ではないSF、ファンタジー、ミリタリー作品で綻びがばれる時代になったと考え、中には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター2』のように戸田のおかげで楽しく鑑賞できた作品もあり、他の直訳傾向の翻訳者が80点を出しているなら戸田は満点もあれば20点の作品もある振れ幅が大きい翻訳者で、『父親たちの星条旗』や『ユナイテッド93』でキャプションの追加が多くなされたことは観客にはありがたく、戸田ばかり批判するのはおばあちゃんをいじめているようで彼女ほどの地位の人物に頭を下げろと要求しても無理な話で今更謝罪でどうにかなるものではなく、年間500本以上大小問わず洋画が公開されている中で限られた翻訳者の手によるならミスも起こり得るし人を増やせばそれも減らせるが入場料に跳ね返ってくる可能性もあり、多少のミスはおおらかに見守った方がいいと、辛口と言われる前田の映画評論のスタンスとは違うコメントをした。
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