翻訳までの経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 14:05 UTC 版)
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の記事における「翻訳までの経緯」の解説
1997年、販売元のTSR社がウィザーズ・オブ・ザ・コースト社(以後、WotC社と記述)に買収された際、WotC社がTSRの契約を引き継がなかったため、メディアワークスのD&D翻訳権は失われた。これは、ホビージャパン社がトレーディングカードゲーム『マジック・ザ・ギャザリング』日本語版を発売する際に(発売開始年は1995年)、WotC社のアナログゲームの独占翻訳権を結んでいたことに起因する。つまり、D&Dの版権がTSR社からWotC社から移った時点で、日本語のD&Dを出版できるのはホビージャパンだけになったのである。 一方、アメリカでは2000年に入るとWotC社はD&Dブランドの大刷新を行った。ルールを大きく変更したAD&Dの三版が新たに『Dungeons & Dragons 3rd edition』(以後、D&D 3rdと略す)の名前で「AのつかないD&D」として発売され、それまでの『Dungeons & Dragons』のシリーズは「クラシック」と銘打たれるようになった。 D&D 3rdはアメリカで大きな話題を呼び、その評判は日本にも伝わってきた。従来のD&Dファンはもちろん、海外ゲーム好きにもD&D 3rdは一つの「話題の新作」として注目され、当時の未訳ゲームの中では桁違いにプレイされるようになった。旧来のAD&Dと異なり、シンプルで遊びやすい、洗練されたゲームシステムは日本の多くのゲームデザイナー/ライターにも刺激を与え、彼らの手によって商業的な場でも紹介やリスペクトがされていき、未訳ゲームに特に詳しくないようなテーブルトークRPGファンに対しても徐々に知名度を上げていった。また、同時期に『ドラゴンランス』や『ダークエルフ物語』などのD&D小説がアスキーからハードカバー版として新たに翻訳されなおして出版されたことも、日本のテーブルトークRPGファンにD&Dを「思い出させる」要因になっている。 そのような動きの中で「(昔ながらのゲームではなく)今話題になっている最新の海外ゲーム」としてD&Dの翻訳待望論の声が高まっていき、2002年についにホビージャパン社により『Dungeons & Dragons 3rd edition』が翻訳展開を行うことが発表されたのである。
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