繰り返し
『オデュッセイア』第2巻 オデュッセウスがトロイア戦争に遠征し、イタケの島で屋敷を守る妻ペネロペに、大勢の男たちが求婚する。ペネロペは、「義父ラエルテスに将来訪れる葬礼のために、彼の死装束を織りあげるまで待ってほしい」と請う。彼女は昼間は機を織り、夜になると織った糸をほどき、これを繰り返して3年の間求婚者たちを欺く。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第1巻第9章 タルタロス(地獄)へ送られたシシュポスは、手と頭で巨岩を押し転がして坂の上まで運び上げる罰を課せられる。しかし、岩は押しても押しても再びもとの所へ戻り、シシュポスの仕事は終わることがない。
賽の河原の俗信 幼くして死んだ子供たちが河原の小石を積み、塔を作る。ある所まで積み上がると、鬼が来て塔をくずす。子供たちは再び小石を積み始める〔*やがて地蔵菩薩が来て、子供たちを救ってくれる〕。
『酉陽雑俎』巻1-33 月中に高さ5百丈の桂の木があり、呉剛という男がこの木を切っている。木の傷口は切ったあとからすぐふさがり、呉剛の仕事は終わる時がない。彼は仙術を学んだが過失のため月世界に追われ、桂を切らされているのである(*月には「桂男(かつらをとこ)」がいる、との伝承もある→〔月〕4cの『絵本百物語』第42「桂男」)。
*1冊の本をいつまでも繰り返し読み、本を閉じることができない→〔本〕7aの『処方』(星新一)。
★2.繰り返し苦を受ける。
『ギリシア神話』(アポロドロス)第1巻第7章 火を人間に与えたプロメテウスはゼウスによって罰せられ、カウカサスの山に釘づけにされる。毎日、鷲が舞い下ってプロメテウスの肝臓を喰う。夜になると肝臓はもとどおり回復し、翌日また鷲がそれを喰いに来る。これが繰り返される。
『今昔物語集』巻19-19 東大寺の僧が山道に迷い、僧房のような所へたどり着く。そこでは、生前怠惰であった僧たち10人ほどが、毎日1度、熱銅の湯を飲まされていた。口から入った熱銅は、しばらくすると尻から流れ出た。目・耳・鼻から炎がゆらめき、身体の節々からは煙が出た〔*彼らは生前に特に罪を犯したわけではないので、地獄堕ちは免れた〕。
『デカメロン』第5日第8話 騎士が高慢な女に恋し、悩んで自殺する。女もその後しばらくして死ぬ。2人は地獄に落ちる。騎士は女を追いまわし、金曜日ごとに追いついては女を刺し殺し、内臓を犬に食わせる。しかし、まもなくまた女は走り出し、騎士は後を追う。
*繰り返し殺される女→〔円環構造〕6bの『火の鳥』(手塚治虫)「異形編」。
★3.繰り返しの生と死。
『不死鳥』(アンデルセン) フェニックスはアラビアに巣を作り、百年ごとにその巣の中で焼け死ぬが、その後また真っ赤な卵の中から生まれ出る。
*同じ体験が、数限りなく何度も繰り返される→〔謎〕5の『ドグラ・マグラ』(夢野久作)。
*すべてのことがらが、無限回繰り返される→〔無限〕4の『この人を見よ』(ニーチェ)「ツァラトゥストラ」。
『韓非子』「和氏」第13 楚人の和氏が、粗玉をレイ王に献上する。鑑定師が「ただの石だ」と言うので、和氏は罰として左足を切られる。レイ王が死に武王が即位すると、和氏は再び粗玉を献上し、今度は右足を切られる。次いで文王が即位し、山の麓で泣く和氏のことを聞き、そのわけを問う。「玉を石と言われたことが悲しい」と和氏は言い、文王が粗玉を磨かせてみると、それは立派な玉であった。
『十八史略』巻6「宋」 宋の名相趙普が、ある時、某人をある官職に就任させようと奏上したが、帝(=趙匡胤)はこれを却下した。普は翌日も同じ奏上を繰り返した。帝は奏上文を引き裂き、捨てた。普は破れた紙を拾って帰り、つなぎ合わせて翌日またそれを奏上した。帝は悟るところがあり、その人物を用いることとした。
『春秋左氏伝』襄公25年 斉の崔杼が、その主君を殺した。史官が「崔杼、その君を弑す」と記録した。崔杼は史官を殺す。すると史官の弟が兄のあとをつぎ、同様のことを記録した。崔杼は彼も殺す。しかし次の弟がまた同様に記録した。崔杼はあきらめ、これを許した。
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