繰り返される山体崩壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 06:52 UTC 版)
「1888年の磐梯山噴火」の記事における「繰り返される山体崩壊」の解説
磐梯山の火山活動の特徴として、これまで山体崩壊を頻繁に引き起こしてきたことが挙げられている。磐梯山の山麓からは15層もの山体崩壊に伴う岩屑なだれの堆積物層が確認されている。磐梯火山の形成史の中でこれまで多くの山体崩壊が発生してきたのには、何らかの原因があったものと考えられている。 千葉、木村、佐藤(1995)では、磐梯火山の活動を6噴火フェーズに分け、各フェーズの間には活動の休止期があったとした。そして休止期を終えて新たな噴火フェーズに入る時期に、プリニー式噴火に伴い、前噴火フェーズで形成された火山体が大規模な山体崩壊を引き起こしたとの説を唱えている。 他の火山に比べて急峻な磐梯山の地形は山体崩壊が起きやすいとする説もある。この説では、後述のように成層火山の形成が一段落した後、水蒸気爆発によって規模の小さな山体崩壊が繰り返され、その結果として急峻な上に小崩壊の影響で不安定となった山体が大崩落するタイプの山体崩壊が発生するという説が唱えられている。 また大谷(1995)は、磐梯山の火山体の北西から南東方向には断層活動に伴って地殻弱線帯が形成されていて、地殻弱線帯は破砕や温泉による地質の変質作用の結果、もろく崩れやすくなっているとした。つまり磐梯山の北西から南東側にかけて、帯状のもろく崩れやすい地殻弱線帯が存在していると考えている。そしてこれまで磐梯山で頻発してきた山体崩壊は、この地殻弱線帯部分の崩壊をきっかけとして発生しているとし、北西や南東方面といった地殻弱線帯に平行した山体崩壊は、崩壊の開始部分が地殻弱線帯の太さに限定されるために比較的小規模なものに留まるが、地殻弱線帯と直交する南や北方向へ向けての山体崩壊は、地殻弱線帯に沿って大規模に崩れた場合、規模の大きい山体崩壊に発展することになる。この説では、約4万年前の磐梯山の南西部で発生した翁島岩屑なだれや、1888年の小磐梯を消滅させた磐梯山の北側で発生した山体崩壊は、地殻弱線帯に沿って発生した崩壊がきっかけとなって、大規模なものに発展したものとしている。
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