綠營とは? わかりやすく解説

りょく‐えい【緑営】

読み方:りょくえい

中国清代兵制で、漢人によって編成され常備軍の一。旧明軍改編して組織したもので、軍旗緑色用いたころからの名。騎兵歩兵分かれ主として治安維持などに当たった緑旗。→八旗(はっき)


緑営

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 17:10 UTC 版)

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緑営の兵士(19世紀初め頃)
清末の緑営の将官(広西提督 蘇元春)

緑営(りょくえい、満州語ᠨᡞᠣᠸᠠᠩᡤᡞᠶᠠᠨ
ᡨᡠᠷᡠᠨ ᡳ
ᡣᡡᠸᠠᠷᠠᠨ
、転写:niowanggiyan turun i kūwaran)は、の軍事組織の1つで、漢人によって編成された部隊。

概要

順治元年(1644年)に、の滅亡に伴って満洲人の清が入関する以前に帰順した漢人によって編成され、緑色の旗を標としたために、緑営と呼ばれた。

満洲人によって編成された八旗の補助的な組織として設置されたが、康熙年間の三藩の乱以降に大幅に増強され、弱体化が進んだ八旗に代わって清軍の主力を担うようになった。

だが、白蓮教徒の乱では、戦力の劣化を露呈し、太平天国の乱ではほとんど機能しなくなって、郷勇団練に取って代わられた。

起源

八旗制度は、太祖ヌルハチが創設した軍事的・社会的・経済的組織であり、ヌルハチを嗣いだ太宗ホンタイジはその八旗から蒙古ニル、漢軍ニルを独立させて、それぞれ蒙古八旗漢軍八旗として成立させた。

清朝が山海関に入った頃(1644年)には、八旗は30万人以上に膨れ上がっていたが、大陸全土を支配するには規模として不足していた。そこで、清朝は入関前に降伏していた旧明兵を徴用し、漢人による部隊を八旗とは別の組織として創設した。

変遷

強大な軍事力を誇った八旗は、時代が下るにつれ次第に貴族化し、弱体化した。それに伴って清朝は緑営の軍事力を重要視し、三藩の乱では既に40万人の緑営を鎮圧に参加させており、緑営は清朝の軍事力の中核を占めるようになった。三藩の乱の後も大小の作戦に従事していたが、太平の時代が長く続いたため、八旗のみならず緑営の内部においても腐敗化は進み、緑営を閲兵した乾隆帝はその堕落ぶりに苦言を呈したとされている。アヘン戦争太平天国の乱の際には、緑営は既に戦闘能力を喪失しており、いたる所で敗北を喫し、両戦闘の初戦において清朝が劣勢に立たされた原因になった。清朝政府はこれを懸念し、新たに湘軍淮軍郷勇といった新興軍を重視し、同治年間より緑営の人数を漸次削減した。これによって清朝の軍事力の中核を占めていた緑営の重要性は徐々に下がっていた。光緒帝の百日維新の際、清朝政府は西洋式調練を施された新軍を国軍とすることを宣言し、これによって緑営は名実共に解体された。

編制

緑営は漢人によって、標・協・営・汛などの作戦単位に編成された。兵は世襲職であり、父が死ねば子が軍籍に編入され、漢人士官の指揮を受けた。緑営の大部分は明朝の制度の踏襲であり、提督(省/標)、総兵(鎮)、副将(協)、参将(営)、遊撃、都司、守備(地方)、千総(駐點)、把總という漢人式の称号はそのまま採用された。

緑営の大部分は歩兵部隊だったが、騎兵や水師(海・水軍部隊)なども存在していた。装備に関しては、伝統的な弓矢のほか、鳥銃(火縄銃)、抬槍(2名以上で操作する大型火縄銃)や大砲等の火器も装備しており、遅くとも三藩の乱頃には火器が使用されていたようである。嘉慶年間に発生した艇盗の乱では、緑営の水師は多数の火砲を搭載した大型兵船を建造・投入して鎮圧に当たった。アヘン戦争でも、広州厦門舟山群島等で緑営所属の沿岸砲台や兵船がイギリス艦隊と交戦した他、陸上各地の戦場で鳥銃や抬槍等の火器を装備した緑営の部隊がイギリス軍上陸部隊と交戦している。

兵力

各省に駐屯した緑営は鎮を最高戦力単位となし、営を最小単位とした。

<<乾隆大清会典則例>>には、清代中期の緑営の総兵数が記載されており、それによると全国の緑営は66鎮、1169営だったとされる。

関連項目


緑営

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/24 05:28 UTC 版)

清の兵制」の記事における「緑営」の解説

詳細は「緑営」を参照 1644年北京占領し、もとは明国であった広大な地域を清が支配するようになった後、相対的に規模小さい「旗」に、清に降った明軍一部が更に付加された。これらの部隊内のいくらか当初は漢軍の旗に受け入れられたが、1645年以降は緑営と呼ばれる新し部隊統合されるようになった。緑営の名称は軍旗の色にちなん名づけられた。清は征服した地域漢人の軍を創設した。緑営は1645年山西陝西甘粛江南に、1650年福建に、1651年に両広(広東および広西)に、1658年貴州に、1659年雲南設置された。彼らは明の時代階級制度維持しており、旗と緑営の混成将校団指揮した。これらの緑営の兵力最終的には旗の兵力の3倍に達した(緑営が約60万人に対して、旗が約20万人)[要出典]。 清が明を征服する過程では、満州人の「旗」が最も有効な戦力ではあったのだが、多く戦闘が漢軍や緑営の部隊により行われた。特に満州騎兵活動しづらい華南での戦線になるほどその傾向強かった1673年勃発した三藩の乱では、「旗」の戦果悪かった満州人漢人将校団率いられていたとはいえ1681年に敵を破り中国全土統一達成助けたのは緑営であった1683年台湾鄭氏政権破った海軍力主力構成したのも緑営であった。 旗と緑営は独立した軍隊で、中央の朝廷から給与支給されていた。更に、地方の省レベルからレベルまでの行政長官は、それぞれ独自の地方民兵保持しており、警察活動災害救援用いていた。これらの民兵地方財源から少額年俸支給されて、非常勤奉仕義務を負う例が多かった

※この「緑営」の解説は、「清の兵制」の解説の一部です。
「緑営」を含む「清の兵制」の記事については、「清の兵制」の概要を参照ください。

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