組合の特則規定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/02 07:51 UTC 版)
健康保険組合は、従業員やその家族である被保険者や被扶養者の利益・福利厚生の充実を図ることを目的に設立するものである。そのため、協会けんぽでは認められていない組合独自のサービス等が認められている。 保険料の負担割合は、協会けんぽでは労使折半が原則であるが(第161条)、組合健保では規約で定めるところにより事業主の負担割合を増加させることができる(第162条)。ただし、被保険者の負担割合をゼロとすることは適当ではない(昭和25年6月21日保文発1418号)。 事業主の負担割合を増加させた場合、その増加割合相当額は、健康保険法上の「報酬」とはされない。 医療機関の窓口で支払う負担金(一部負担金)は、協会けんぽでは原則3割負担であるが、組合指定の病院等では規約により一部負担金の減額・不徴収が行える。また、組合直営の病院等では一部負担金を徴収しない(規約により法定の負担割合の範囲内で徴収する旨を定めることはできる)(第84条)。 健康保険法で定める保険給付に併せて、規約で定めるところにより、付加給付を行うことができる(第53条)。具体的には、出産手当金、出産育児一時金、傷病手当金、埋葬料、高額療養費等の支給額の上乗せや支給期間の延長などを定めている健康保険組合が多い。付加給付は、保険給付の一部であり、かつ、法定給付に併せ行わるべきものである(昭和32年2月1日保発3号、昭和35年11月7日保発70号)。したがって、災害見舞金、家族付添補給金、栄養補給金、出産の際の産衣の支給等、保険事故と関係がない、あるいは保険給付を補完・拡充するものとはいえない付加給付を行うことは認められない。また被保険者期間等により支給額若しくは支給期間に差を生ずるもの、特定の医療機関に受診した場合に限り支給するもの、又はこれらに類する受給の機会均等を害するおそれのあるものは認められず、被保険者資格を喪失した者を対象とするものも認められない。 厚生労働大臣の承認を受けた健康保険組合(承認健康保険組合)においては、規約で定めることにより、標準報酬定率制の介護保険料額に代えて、所得段階別定額制の介護保険料額を採用することができる(特別介護保険料額、附則第8条)。この特別介護保険料額は、各年度における当該組合の特別介護保険料額の総額と、当該組合が納付すべき介護納付金とが等しくなるよう、規約で定める。 組合を設立する事業主は、当該組合にその使用する国民年金第2号被保険者の被扶養配偶者である国民年金第3号被保険者の届出の経由に係る事務の一部を委託することができる(国民年金法第12条8項)。通常この届出は事業主経由ですることとされているが、この規定により、一般的には健康保険組合を有する事業場においては年金事務は健康保険組合が行っている。 なお、健康保険組合の場合は、被保険者本人が介護保険第2号被保険者でない場合であっても、当該被保険者に介護保険第2号被保険者である被扶養者がある場合には、規約で定めることにより、当該被保険者に介護保険料額の負担を求めることができる(特定被保険者、附則第7条)。
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