組合の法的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 00:48 UTC 版)
組合の法的性質については諾成・有償・双務契約に分類できる。組合は形式的には双務契約であるが、組合には双務契約の性質と相容れない点も多く認められる。このようなことから、組合の法的性質については双務契約説と合同行為説とが対立するが、現在では契約というよりも合同行為であると解する説が有力となっている。両説とも決定的な論証という点では問題があるとされるが、一般には契約法の規定のうち組合の団体法理と相容れない規定の適用は基本的に排除されると考えられてきた。 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で同時履行の抗弁権、危険負担、解除の規定の適用排除が明文化された。 同時履行の抗弁権の適用排除同時履行の抗弁権の規定(533条)は組合契約には適用されない(667条の2第1項)。すなわち出資義務につき履行済の組合員から出資義務の履行を請求された未履行の組合員は、他組合員の出資義務未履行を理由に自らの出資義務を拒むことはできない。 危険負担の適用排除危険負担の規定(536条)も組合契約には適用されない(667条の2第1項)。すなわち不可抗力で出資義務が履行不能に陥った場合においても、536条により他の組合員が出資義務を拒むことはできず、当該組合員の脱退等の問題として処理される。 債務不履行による契約解除の適用排除組合員は、他の組合員が組合契約に基づく債務の履行をしないことを理由として、組合契約を解除することができない(667条の2第2項)。一組合員の出資義務の履行遅滞は、当該組合員の脱退や組合の解散の問題として処理され、組合契約の解除の問題とはならない。 また、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で、組合員の一人について意思表示の無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられないことが明文化された(667条の3)。組合には団体的性格があり、組合の外形を信頼して取引をした第三者の利益や共同事業を行おうとした他の組合員の期待を保護するためである。なお、意思表示の無効・取消原因のある組合員との関係では、意思表示の無効又は取消しにより、その組合員は組合に出資した財産の返還を求めることができる。
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