精霊船
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精霊船(しょうりょうぶね/しょうろうぶね、精霊舟)は、盆行事として行われる精霊を送るための船(藁船など)またはその行事。
行事
送り盆の風習が残る地域では、毎年8月15日または8月16日に海辺や川辺から精霊を送る行事があり、特にそのための精霊船を製作する地域もある[1][2]。佐渡市指定民俗文化財の琴浦精霊船(ことうらせいれいせん)のように、8月13日の精霊迎えと8月16日の精霊送りの両方で船を製作する地域もある[2]。
精霊船の素材は伝統的には竹と麦わらで製作された地域が多かったが[3]、稲わらや木材に変わっている地域もある[4]。
精霊船が文化財に指定されている場合でも環境に配慮して盆飾りを積み込まなくなった地域もある[1]。また鹿児島県のようにいったん流した後でも精霊船を回収しプラスチック製の精霊舟は使用しないよう呼びかけている自治体もある[5]。香川県土庄町長浜地区の精霊流しで用いられている精霊船は環境に配慮しデンプン製になっている[6]。
各地の精霊船
- 「三戸のオショロ流し」(神奈川県三浦市)国指定重要無形民俗文化財[3]
- 「琴浦精霊船(ことうらせいれいせん)」(新潟県佐渡市)佐渡市指定民俗文化財[2]
- 「お盆の精霊船送り」(福井県小浜市)小浜市指定民俗文化財[1]
- 「志佐立町の精霊船(しさたてまちのしょうろうぶね)」(長崎県松浦市)松浦市指定無形民俗文化財[4]
出典
関連項目
精霊船
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精霊船は大きく2つに分けることができる。個人船と、「もやい船」と呼ばれる自治会など地縁組織が合同で出す船である。個人で精霊船を流すのが一般的になったのは、戦後のことである。昭和30年代以前は「もやい船」が主流であり、個人で船を1艘造るのは、富裕層に限られた。 もやい船、個人船に限らず、「大きな船」「立派な船」を出すことが、ステータスと考えている人もいる。現代でも「もやい船」の伝統は息づいており、自治会で流す船のほか、病院や葬祭業者が音頭を取り、流す船もある。また、人だけでなく、ペットのために流す船もある。 流し場までの列は家紋入りの提灯を持った喪主や、町の提灯を持った責任者を先頭に、長い竿の先に趣向を凝らした灯篭をつけた「印灯篭」と呼ばれる目印を持った若者、鉦、その後に、揃いの白の法被で決めた大人が数人がかりで担ぐ精霊船が続く(「担ぐ」といっても船の下に車輪をつけたものが多く、実際には「曳く」ことが多い)。 精霊流しは午後5時頃から10時過ぎまでかかることも珍しくないため、多くの船は明かりが灯るように制作されている。一般的な精霊船では提灯に電球を組み込み、船に積んだバッテリーで点灯させる。小型な船や一部の船ではロウソクを用いるが、振動により引火する危険があるため、電球を用いることが多い。また、数十メートルの大型な船では、発電機を搭載する大がかりな物もある。材質は木製のものが多いが、特に決まりはなく、チガヤ(西海市柳地区など)や強化段ボールなどが利用される場合もある。 精霊船は「みよし」と呼ばれる舳先に家紋や苗字(○○家)、もやい船の場合は町名が書かれている。艦橋の部分には位牌と遺影、供花が飾られ、盆提灯で照らされる。仏画や「南無阿弥陀仏」の名号を書いた帆がつけられることが多い。 印灯篭は船ごとに異なる。もやい船の場合はその町のシンボルになるものがデザインされている(例:町内に亀山社中跡がある自治会は坂本龍馬を描いている)。個人船の場合は家紋や故人の人柄を示すもの(例:将棋が好きだった人は将棋の駒、幼児の場合は好きだったアニメキャラなど)が描かれる。 船の大きさは様々で、全長1~2メートル程度のものから、長いものでは船を何連も連ね20~50メートルに達するものまである。 精霊船の基本形は前述の通りであるが、近年では印灯篭の「遊び心」が船本体にも影響を及ぼし、船の形をなしていない、いわゆる「変わり精霊船」も数多く見られる(例:ヨット好きの故人→ヨット型、バスの運転士→西方浄土行の方向幕を掲げたバス型など)。
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