筋サルコイドーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:24 UTC 版)
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サルコイドミオパチーにおける類上皮細胞肉芽腫は他臓器と同様で、中心部に活性化されたCD4陽性T細胞、類上皮細胞やマクロファージなどのCD68陽性細胞、ラングハンス巨細胞が多数集簇して存在し、周辺部にCD8陽性T細胞やB細胞が見られるのが特徴である。類上皮細胞はリンパ球に比べるとやや扁平で大きく、核はクロマチンに乏しい。CD68陽性細胞はカルパインやカテプシンB、ユビキチン・プロテアソームなどのタンパク分解酵素を強く発現する。これは全身の肉芽腫性病変に共通した所見である。肉芽腫は筋周膜や筋内鞘の小血管に形成され、周囲の筋線維を破壊しながら進展して形成していく。増大した肉芽腫では、周辺部から中心部に向けて線維化が進展し、硝子化病変となる。そして高度の線維化を残して自然消滅する。この肉芽腫の形成、消退、線維化のサイクルはearly、premature、mature、healingの各ステージに分けられ、症例や病変部位により種々のステージの肉芽腫が観察される。 またサルコイドミオパチーでは臨床病型に筋病理学の相違点が知られている。腫瘤型では筋周膜や筋内鞘などの間質の血管周囲を中心に肉芽腫が形成され、様々なステージの肉芽腫が認められる。筋線維内に炎症細胞が浸潤し、また筋束内の肉芽腫の増大とともに肉芽腫に接する筋線維が圧排されることで、筋線維の崩壊にいたる。病変の一部で筋鞘膜蛋白により周囲を囲まれた肉芽腫がみられることがあり、肉芽腫が筋線維内に形成されていることが示唆される。また血管壁に浸潤して肉芽腫性血管炎を認めることもある。病変部位から離れた筋束の筋線維は正常である。 一方、ミオパチー型では、限局性の肉芽腫病変が多巣性にびまん性に形成され散在するが、時に見られないこともある。筋線維の著明な消失から筋束の基本構築の崩壊が認められる。残存する筋線維は高度の大小不同を認め、筋線維の壊死や再生、小角化線維、小円形線維が認められる。肉芽腫性病変から離れた筋束の筋線維でも変化が認められる。その他、縁取り空胞や赤色ぼろ線維、分葉線維、cytoplasmic bodyなどを有する線維が散見される。また筋周膜や筋内鞘の高度線維化と脂肪置換を認め、血管周囲の炎症細胞浸潤や肉芽腫性血管炎がみられる。 腫瘤型とミオパチー型は筋病理像が大きく異なる。腫瘤型がミオパチー型に進展する症例は殆どなく、腫瘤型では腫瘤が全身性に形成されても筋力低下がみられない。一方、ミオパチー型では四肢対称性に筋力低下を認めることから、ミオパチー型の高度のびまん性筋崩壊には腫瘤型と異なり、種々の自己免疫機序や内分泌因子、液性因子などの二次的な機序の関与も示唆される。実際、ミオパチー型においてTh2免疫応答を基盤としたM2分化型マクロファージが慢性型に関与することが報告されている。
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筋サルコイドーシスはサルコイドーシスの肉芽腫病変が全身の骨格筋組織に出現した場合に診断される。筋サルコイドーシスは無症候性と症候性に大別される。多くが無症候性であり、症候性は稀な病態でありサルコイドミオパチーと呼ばれる。サルコイドミオパチーは腫瘤型とミオパチー型に分類され、さらにミオパチー型は発症様式から急性筋炎型と慢性ミオパチー型に分類される。慢性ミオパチー型のうち孤発性封入体筋炎を合併する特殊なサブグループの報告が散見する。全身性サルコイドーシスの患者における無作為の筋生検で50~80%類上皮細胞肉芽腫を認めたと報告され、無症候性であっても筋病変を有すると考えられている。 症候性のサルコイドミオパチーは全身性サルコイドーシスの0.4~2.3%と報告され極めて少ない。サルコイドミオパチーは日本では腫瘤型73%、ミオパチー型27%であり腫瘤型が多い。筋組織に限局したサルコイドーシスも報告されている。診断には筋生検が重要である。
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