内分泌因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 16:42 UTC 版)
黄体機能不全、糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高プロラクチン血症などがあげられる。流産を契機に糖尿病や甲状腺疾患が疑われる頻度は日本では非常に低いため、重要なのは黄体機能不全と高プロラクチン血症である。黄体機能不全は基礎体温表、子宮内膜日付診、経腟超音波断層法、血中プロゲステロン濃度によって診断されることが多い。高温期が10日以内、子宮内膜日付診で分泌期の所見が3日以上遷延する場合に疑われる。基礎体温陥落日を0日とした場合、高温期の7日目の血中プロゲステロンにて2〜10ng/mlとなった場合は黄体機能不全と考えられる。なお2ng/ml以下の場合は排卵も起こらないことが多いので不妊症の原因として重要である。原発性黄体機能不全の治療は黄体賦活法、黄体ホルモン補充療法が知られている。ジヒドロゲステロン(デュファストン 10〜15mg/day)、酢酸クロルマジノン(ルトラール 2〜4mg/day)を高温期2〜3日目から10日間経口投与するという方法がよくとられる。黄体機能不全は他の内分泌疾患に続発しておこることも多い。その原因となるのが高プロラクトン血症や甲状腺機能異常である。一般には高プロラクチン血症は血中プロラクチン濃度15ng/ml以上と定義されているが、不育症と診断がついている場合は10ng/ml以上を2回示した時点でドーパミン作動薬の投与を開始する。ブロモクリプチン(パーロデル)を1.25mg/dayから開始して維持量を2.5mg/dayとする方法が有名である。ブロモクリプチンは悪心、嘔吐、頭痛といった副作用が稀ではないため、テルグリド(テルロン)を用いることが近年は多い。これは0.25mg/dayから開始し0.5mg/dayで維持することが多い。甲状腺ホルモンは顆粒膜細胞の受容体を介して卵胞期から作用し、卵巣機能に影響を与えていると考えられている。また不育症患者では高LH血症やPCOパターンをとることも多い。無月経で行うLH-RH試験も行っておいて損はない。
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