第7章 技能者の養成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 23:28 UTC 版)
第69条(徒弟の弊害排除)使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。 使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。本条は、日本における従来の徒弟制度にまつわる悪習慣を是正し、特に酷使の典型である雑役への使用を禁止する趣旨であるから、その監督取締は厳格に行われる。第1項は、技能の習得を目的とする者であることを理由としない場合は労働者を酷使してもよいという反対解釈を許す趣旨ではない(昭和22年12月9日基発53号)。 本条は、次条以下と異なり、適用対象が職業能力開発促進法第24条による認定を受けた職業訓練を受ける労働者に限定されていない。このことから、外国人技能実習法による外国人技能実習生についても当然に本条が適用される。 本条違反に対する罰則の定めはないが、本条違反が同時に年少者保護規定や強制労働の禁止、児童福祉法の虐待禁止規定等に違反する場合には、これらの規定による罰則の適用を受けることになり、それによって本条の実効性の確保がなされる。また民事的には本条違反を直接の根拠に公序良俗に反することを理由として、その労働契約をはじめから無効と解することができる。 第70条(職業訓練に関する特例)職業能力開発促進法第24条第1項(同法第27条の2第2項において準用する場合を含む。)の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、第14条第1項の契約期間、第62条及び第64条の3の年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限、第63条の年少者の坑内労働の禁止並びに第64条の2の妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。ただし、第63条の年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満16歳に満たない者に関しては、この限りでない。就業可能業務は、教習事項を習得するために必要なもののみについて認められているものであるから、労働基準法施行規則別表第一に掲げられないものについてはたとえ技能養成工といえどもその就業を認めるものではない(昭和23年6月29日基発118号)。 第71条前条の規定に基いて発する厚生労働省令は、当該厚生労働省令によって労働者を使用することについて行政官庁(都道府県労働局長)の許可を受けた使用者に使用される労働者以外の労働者については、適用しない。 第72条【職業訓練を受ける未成年者の年次有給休暇に関する特例】 詳細は「年次有給休暇#職業訓練に関する特例」を参照 第73条第71条の規定による許可を受けた使用者が第70条の規定に基いて発する厚生労働省令に違反した場合においては、行政官庁は、その許可を取り消すことができる。 第74条 削除労働基準法制定時には、第74条において技能者養成審議会に関する規定を置いていたが、1958年(昭和33年)の職業訓練法(現在の職業能力開発促進法)の成立により同法の職業訓練審議会(現在の中央職業能力開発協会)にその役割を譲ったため、労働基準法上の条文は削除されている。
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