第1の自由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 06:53 UTC 版)
第1の自由は着陸を行わずに他国の領空を通過する権利である:31。これは着陸を行わずに条約国の領空を通過する権利を与える。国際航空サービス輸送協定の加盟国は航空機が指定された航空路を使用することを条件に、他の加盟国にこの自由(と第2の自由)を認める。2007年夏の時点でアメリカ、インド、オーストラリアなど129ヶ国がこの条約の締約国であったが、ブラジル、ロシア、インドネシア、中国は一度も参加せず、カナダは1988年に条約から脱退した。これらの非IASTA加盟国は、他国の航空会社による自国の空域への進入に対する厳重な管理を維持し、ケースバイケースで他国との交通契約を交渉することを好んでいる:23。冷戦の期間中、ソビエト連邦と中国は他国の航空会社が自国内を通過することを一切許可しなかった。このため一部のヨーロッパ - 日本便がシベリア経由ではなく大西洋・太平洋経由の航路を取ることを余儀なくされ、航続距離が不足しているためアラスカで一旦給油を行ってから目的地へ向かっていた。冷戦終結以降、第1の自由ははほぼ完全に普遍的なものとなっている:151。ほとんどの国では飛行前に事前の通知が必要であり、権利に対して相当の料金を請求することがある。 IASTAでは、各加盟国が空港(おそらく第2の自由にのみ適用可能)および"設備" (facilities) を使用するための"適正な" (reasonable) 料金を他国の航空会社に請求することができる。IATAによると、その料金は同様の国際線運航を行っている国内航空会社に請求される料金より高くしてはならない。このような料金は空港が使用されない場合、基本的に単なる領空通過の権利のためだけに請求されている。例えばIASTA加盟国であるアメリカの連邦航空局は航空機のアメリカ管轄空域進入地点から管轄空域離脱地点までの間で大円距離100海里 (190km; 120mi) あたり60.08ドルの料金を請求している。また、大西洋と北極海の一部と北太平洋の大部分を含むアメリカの管轄下にある国際海域を飛行する場合は、100海里あたり24.77ドルの低い料金 -海洋料金- が請求される。IASTAの加盟国ではない国も同様に領空通過権利のための料金を請求することができる。その中でも特にロシアは北アメリカ・ヨーロッパとアジアの間をシベリアを横断して結ぶ北極航路で高い料金を請求することで知られている。2008年、ロシアはルフトハンザ・カーゴが"上空飛行権利料金の支払い延期" (delayed payments for its flyover rights) を行ったため一時的に同社の航空機の領空通過を拒否した。ヨーロッパの航空会社は、領空通過権利のために年間3億ユーロをロシアに支払っている。
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