第二次世界大戦前・大戦中の車種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 23:53 UTC 版)
「メルセデス・ベンツ」の記事における「第二次世界大戦前・大戦中の車種」の解説
S/SS/SSK/SSKL 通称Sシリーズ。1927年、前身のKシリーズをいっそうスポーティにしたモデル「S」(SはSport(シュポルト)の略)が登場。設計はフェルディナント・ポルシェである。前身のKシリーズのフレームにキックダウンをつけることで低重心化し、エンジン位置も調整したもので、市販車であるがそのままレース出場すら可能な、文字通りのスーパースポーツカーである。Sシリーズはエンジン排気量・ホイールベースの改良により、SS/SSKへと進化。SSKに至っては、1920年代の市販車でありながら、最高速192km/hを出すことが可能であったという。究極的には、エンジンを当時としては例のない300馬力まで強化し、大幅にストリップダウンされて軽量化したSSKLとなり、最高速は235km/hに達したが、レース専用であり、わずか数台が製造されただけであるとされる。SSKLは、1931年には、伝統のミッレミリアを制したことでも名高い。Sシリーズは、名手ルドルフ・カラツィオラの活躍や、その生産台数の少なさもあり、現在まで伝説のマシーンとして記憶されている。 170H 540K - ホルヒ・853と互角に競った、最高のパーソナルカーである。当時、どの自動車会社もスペシャルモデルはすべてコーチワークをコーチビルダーに任せていたが先代の500K同様、自社でコーチワークを行っている。その完成度はコーチビルダーに勝るとも劣らないほどであった。映画サウンド・オブ・ミュージックでもこれのカブリオレBが使用されている。 260D - 世界で初めてディーゼルエンジンを搭載・市販された乗用車である。 770/770K - 通称「グローサー・メルセデス」。初代と2代目がある。排気量7.7Lの直列8気筒エンジンを積むこのモデルは、当時のダイムラー・ベンツのフラグシップモデルである。主な顧客は世界の王侯貴族や富豪、ナチ高官であった。ナチス・ドイツでは戦勝地でのパレードで国力を見せつけるために使用された。ヒトラーらナチ高官のものはスーパーチャージャー(Kompressor )を追加した「770K」であり、中でもヒトラー専用車はルドルフ・カラツィオラにより納車された。当時の大日本帝国でも、昭和天皇の御料車として採用されている。こちらはスーパーチャージャー非装備(出力は150馬力)の770が選択された。1931年から1935年にかけ合計7台が輸入され、1969年まで連綿と使われた。黒と溜色に塗られたこの御料車は、戦後間もなくの昭和天皇の戦後巡幸でも使用され、昭和天皇と共に全国を周り、当時の日本国民の目に触れている。
※この「第二次世界大戦前・大戦中の車種」の解説は、「メルセデス・ベンツ」の解説の一部です。
「第二次世界大戦前・大戦中の車種」を含む「メルセデス・ベンツ」の記事については、「メルセデス・ベンツ」の概要を参照ください。
- 第二次世界大戦前・大戦中の車種のページへのリンク