税の作文 書き出しの書き方
作文は最初から順に書いてゆく必要はない。
「税の作文」の場合、募集者である国税庁が「税の学習コーナー>税の作文(中学生・高校生)」 で過去の「税の作文」受賞作を公表している。過去の優秀作品をいくつか読んで参考にするだけでも、だいぶ勝手が理解できるだろう。
念のため付言すると、「税の作文」の正式名称は「税についての作文」。国税庁が中学生や高校生を対象に募集している。国税庁的には任意の課題であるが、これを夏休みの宿題などとして活用している学校もある。
上手な作文の書き出しは、必ずしも、奇をてらう(=意表を突くようなことを言う)表現である必要はない。ありきたりな書き出しでもよい。ただし作文全体が、最初から最後までありきたりな内容ではいけない。それなりに個性が求められる。とはいえ個性を出すことは難しくはない。
「税の作文」は、経済学的な知識や洞察を求めているわけではない。税に関する知識そのものは生半可でもよい。「税」の仕組みに接して、そのありがたみを実感した、ということを自分の体験として記述できれば、「税の作文」としては立派な佳作になる。
作文の書き出しは、「(1)一般論を述べる」「(2)歴史的事実を述べる」「(3)自分の経験を語る」そして「(4)誰かの発言を借りる」といったパターンに分けられる。
(1)一般論を述べるパターンは、いたって普通の、常識的な、当たり前の、当り障りのないことを提示する書き出し。
・世の中には実にさまざまな税がある。
・公共財は税金で成り立っている。
・社会を体にたとえた場合「金は血液」とされる。
この「一般論を述べる」パターンの書き出しは、ふだん疑わない常識を疑ってみる「思考実験」を展開する序章として使える。
なんの変哲もない一般論を、自分の実体験と結びつけて「個人の特殊体験」にし、「本当にその通りなんだなぁと感じた」と結ぶ方向に持っていくこともできる。
(2)歴史的事実を述べるパターンは、実際にあった過去の出来事を「いつ、どこで、何が起きたか」から始める書き出し。
・2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた。
・2020年(令和2年)7月、西日本を中心に全国で豪雨災害が相次いだ。
・10月19日の月曜日といえば「ブラックマンデー」があった日だ。
事実は表現を工夫する余地が少ないので書き始めやすい。そして「この出来事に接して自分はどう思ったか、何を学ぶべきか」といった方向に持っていくと割と書きやすい。
(3)自分の経験は、「それが(本文の内容)について考えるきっかけになった」ということの説明として機能するため、話を組み立てやすい。
・最近まで私は「税金は搾取でしかない」と考えていた。
・私は子供の頃に2年ほど海外で暮らしていました。
・この夏、祖父が亡くなった。祖父は守銭奴だった。
自分の経験は言うまでもなくユニークであり個性を出しやすい。その内容が結構しょうもない話題であっても、実体験と関連させて書くと読み応えのある内容にできる。
(4)誰かの発言を借りるパターンは、カッコつきの「セリフ」(誰かの発言)を使った書き出し。新聞がしばしば使う手法である。
・「やっぱり、いいよ」。そう母が言った
・「相続制とかぜってー無理だって」と兄が言う。
・「待って待って、待って。やばい」。
セリフは、話し言葉が使えるため、際立って印象深い表現も違和感なく使える。読み手を引き込む「つかみ」としても使いやすい。そうそう都合のよいセリフを言う人が身近にいない場合、架空の人物にセリフを言わせるという手もある。
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