石灰岩の迷宮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 10:02 UTC 版)
「マンモス・ケーブ国立公園」の記事における「石灰岩の迷宮」の解説
マンモス・ケーブは、古生代ミシシッピ紀 (前期石炭紀、約3億年前) の厚い石灰岩層中に形成されている。石灰岩層の上には砂岩層が水平にかぶさっている。このために全体が非常に堅固な岩層となっている。洞窟の長さは591キロメートル(367マイル)以上知られているが、新たな通路や他洞窟との接続箇所が今も発見されつづけ、毎年数マイルずつ長さが延びている。 上部の砂岩層はビッグ・クリフティ砂岩と呼ばれ、地表では緩やかな起伏の地形をつくっている。谷となって窪んでいる地帯には下位の石灰岩層が露出している。砂岩層中には薄い石灰岩層がまばらに点在し、表層のカルスト形成ゾーン(epikarstic zone)をつくっているが、ここに生じている洞窟系は小さすぎて探検することはできない。 地表に浸透する雨水はいったんビッグ・クリフティ砂岩からなる丘陵の中腹に小さな泉となって現れる。水は石灰岩層が露出する谷下までわずかな距離を流れ、谷底に石灰岩層が露出するようになると、再び地中へ浸透していく。人が通過可能な洞窟が形成されているのは、この石灰岩層である。 砂岩層と石灰岩層の境界面は、谷に沿って上流に登っていくと見いだすことができる。上がっていくと、岩の露頭が石灰岩から砂岩に変化するのが見られる。もちろん、尾根から石灰岩の谷底に崩れ落ちて散らばっている砂岩の塊もあるが、こういったものは無視せねばならない。 層序学的には、ビッグ・クリフティ砂岩の下位にある石灰岩層は、上から順に、ガーキン層・セントジュヌビエーブ石灰岩・セントルイス石灰岩と区分される。いくつかの観光コースがあるが、歴史コースのツアーで行く主洞部は、ガーキン層の底面とセントジュヌビエーブ石灰岩の上面に沿って水平に延びている。 各層はより細かい単位に分けられ、それぞれに名前が付けられている。洞窟探検家が洞窟内諸所で得た地層の重なり方についてのデータを地質学者が層序学的に関連づけ、まとめることによって、地層境界面の3次元的な分布図をボーリング調査なしに作成することも可能となっている。 上部のビッグ・クリフティ砂岩は比較的水が浸透しにくい。砂岩に垂直な割れ目が生じている所だけに、例外的に浸透が起こっている。この防水的な効果によって、上層にある洞窟(比較的古い時代の洞窟)は大変乾燥しており、鍾乳石や石筍、その他の二次生成物が存在しない。 ただ、この砂岩の被覆層は、かなりの地域で局地的に侵食され、消滅している。そのような場所では、上からの地下水の浸透が盛んで、フローズン・ナイアガラ(凍れるナイアガラ)で見られるように洞窟生成物が発達している。 公園南部のある谷底には、シダーシンクと呼ばれる巨大な陥没凹地(ドリーネ)が形成されている。凹地の一方の側で地下から小川が流れ出し、反対側で再び地下に流れ込んでいく様が見られる。 マンモス・ケーブには、ケンタッキー・ケーブ・シュリンプという体色が白く、眼のないエビが生息しており、絶滅危惧種である。
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