石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 16:28 UTC 版)
「石炭」の記事における「石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争」の解説
二度の石油危機以降、原油価格が上昇し、発電・工業用ボイラ燃料・セメント焼成燃料は1980年代に再び石炭に戻った。一方で石油代替燃料のライバルとして天然ガスが登場した。しかしながら価格が最も安価なため、1980年代以降も米国や中国では石炭火力発電が発電の大きな柱となっている。日本では、東京電力・中部電力・関西電力のような大都市圏の電力会社では比較的天然ガスの比率が高いものの、地方の電力会社では、沖縄電力が2015年の統計で発送電電力量構成比で石炭火力発電が62%をしめるのを筆頭に、中国電力でも56%、北陸電力でも64%を占めるなど石炭火力発電が発電の柱となっている会社も多い。 近年中国での経済成長による需要急拡大などを背景に2000年ごろには約50億トンであった石炭の消費量は急増しており2010年以降は約80億トンとなっている。 2010年代には地球温暖化対策の視点などから、火力発電所で使用される石炭は天然ガスと比べて二酸化炭素の排出量が多いことが問題視されるようになった。2016年に行われた第22回気候変動枠組条約締約国会議(COP22)に合わせ、フランスは2023年、イギリスは2025年、カナダは2030年までに石炭火力を廃止する方針を打ち出している。また、アメリカではメキシコ湾岸油田などの開発から、コスト的に天然ガスが優位となり、石炭火力発電所が次々に閉鎖される出来事もあった。
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