短時間の変動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:19 UTC 版)
風力発電は風速の変動に従って出力が需要と無関係に変動し、電圧や力率の変動をもたらす。この変動は一般に太陽光発電に比べても大きい。特に導入量が小規模の場合は高い周波数成分を含む変動が多くなる。しかし大規模に導入した場合、変動は大幅に緩和され、系統側の負担が小さくなる(#導入規模の効果参照)。実際、デンマーク、ドイツ北部、スペインなどにおいて、信頼性を犠牲にせずに電力供給量の20-40%を風力で賄えることが実証されている。また既存の系統に風力発電を追加する場合、新たなバックアップ電源を付加する必要は無いとされる。ただし系統容量に占める風力発電の割合が大きい場合は、ある程度の蓄電設備を加えることで系統全体で見た発電コストを低減できる場合もあるとされ、検討や実験が進められている。こうした対策にはコストもかかるが、ある程度の導入割合までは実用的な範囲とされる(#費用対効果参照)。 個々の風車やWF単位で出力を平滑化するには、下記の対策が有効とされる。 大型のブレード自体の慣性力を利用する。風の強い時に回転数を動的に上げて運動エネルギーを蓄え、風が弱くなった時に利用することで、発電機の出力を平滑化する。 一部の風車を調整力としてリザーブし、適宜解列などを行うことでWF全体の出力を平滑化する。 電力を一時的に蓄電池に貯蔵する。 系統連系部(インバータなど)に力率の調整能力を付与する。 フライホイールによる慣性回転や油圧・ガス圧・空気圧(圧縮空気)による蓄圧によってエネルギーを貯蔵する。例えば圧縮空気を用いた研究例では、15%のコストの追加で稼働率を34%から93%に引き上げられるという報告がある。 局地的な気象解析を行い、リアルタイムで発電量を予測する(#事前調査と発電量予測参照)。 この他、風力発電で得られた電力から水素を製造する手法も研究されている。
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