導入規模の効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 04:19 UTC 版)
風力発電は小規模分散電源であり、導入規模や範囲が増すほど全体的な信頼性と安定性が高まり、発電コストも低減する。 風力発電設備は普及クラスのものであれば、稼働可能率 自体は非常に高くすることが可能であり、稼働可能率95%以上の例も多数報告されている。これは一般にメンテナンス等に要する時間が短いことによる。たとえ個々の風車の稼働可能率が低くても、導入数の増加や他の分散型電源との併用により、全体でみた稼働可能率は100%に近づく。これに対して一般的な大規模集中型発電所では、1990年頃の米国の例では原子力73%、化石燃料火力発電所の平均で85%、水力でも91%程度と報告されている( P242)。 風力発電設備が稼働不可になる要因としては、風速不足を除くと落雷、故障、定期保守、系統の故障、などがある。英国における一例では、それぞれ原因の48%、37%、13%、2%を占めたと報告されている( P241)。風力は変動するため、個々の風車の稼働率は通常40%以下となる。 異なる場所に分散して設置された風車同士は、距離が離れるに従って、出力変動の相関性が低くなる。特に速い(高い周波数の)変動においてこの傾向は顕著となり、合計の出力がある程度平滑される。このため出力の平準化には、分散配置が有効とされる。ただし、完全に変動が無くなるわけではない。 大規模化と分散配置により、大きな変動は残るものの、全体でみた変化の速度が遅くなり、電力網によるサポートがより容易となる。オランダ内の海岸沿いの6地域でを対象とした調査では、数時間程度の間隔で出力に大きな変動が見られるが、100万kW規模の変動が起こる確率は、その規模の火力発電設備が強制停止される頻度と同程度であると報告されている。 小規模な導入量では、出力変動への対策コストは必要以上に高く算出される。 系統連系する際に許容できる導入量の見積もりは、シミュレーションの前提条件の小さな違いで大きく異なる結果となる。このため変動の許容量を必要以上に小さく見積もっている例も散見される。
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