有効な緩和策とそれぞれの限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 07:48 UTC 版)
「スターン報告」の記事における「有効な緩和策とそれぞれの限界」の解説
報告書では有効な対策として下記を挙げている。同時にそれぞれに限界があることも指摘し、個々の対策で考えるのでなく、エネルギー供給システム全体を変えなければならないと指摘している。(Chap.9, P.227 -) エネルギー貯蔵 - 運輸や他の殆どの低炭素技術の活用を拡大する技術として重要である。 低排出な運輸手段 - 今後数十年は化石燃料ベースと考えられる。排出量を抑え、バイオマス燃料を利用することが重要である。長期的には低炭素の電力源や水素エネルギーへの移行が検討されるべきである。 原子力発電 - ベースロードとしては安価であるが、負荷追従運転はコストを押し上げる。停止するコストが高いため、エネルギー貯蔵手段の進歩が無い限り、負荷追従に化石燃料が用いられることが多くなるだろう。加えて、放射性廃棄物処理と核拡散が問題となる。 間欠性の再生可能エネルギー - 太陽光発電や風力発電などは不随意に発電するため、バックアップ電源を確保する必要性がある。この報告書ではそのためのコストも考慮しているが、市場での利用割合が大きくなれば、現在より効率的なエネルギー貯蔵システムも必要になる。 作物から製造するバイオマス燃料 - バイオマスは運輸、発電、工業や建築で炭素排出量の削減を可能にする。ただし現行のバイオマス燃料は農業や水資源との競合も起こし得る。ポテンシャルは大きく、仮に生産量の3分の1が運輸に利用されると道路輸送の10 - 20%を賄えるだろう。 炭素回収・貯留(CCS) - 長期的には利用可能な場所と容量に制限を受ける。しかし石炭など安価な燃料には重要なオプションとして今後数十年残る。 電力およびガス - これらの配送システムは小規模分散型の発電、コージェネレーション、水素エネルギーの導入などによって根本的に変わるだろう。 これより、全ての技術はシェアが増す毎に導入コストが増加すると同時に、技術的発展によってある程度はコストが減少すると予測されている。導入規模の効果、およびそこから促される技術革新がコストを減少させると指摘している。
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