王朝交代説とは? わかりやすく解説

王朝交代説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 02:40 UTC 版)

クシャーナ朝」の記事における「王朝交代説」の解説

クシャーナ朝王統長く貨幣銘文などによる断片的な記録基づいて復元されており、不明点が多い。クシャーナ朝王統復元について長く支持されてきた説がクジュラ・カドフィセスヴィマカドフィセス属す王朝と、カニシカ以後王朝別の王朝であるとする説、すなわちカニシカ王による王朝交代説である。 これはカニシカ以後、「カドフィセス」から「イシカ」系列王名が切り替わっていることや、カニシカが独自の暦を定めていること、両カドフィセス時代コインではギリシア語称号ギリシア文字で、プラークリット語称号カローシュティー文字で、併記する様式であったのに対しカニシカ王以後バクトリア語称号ギリシア文字記したものに変化していることなどを根拠としている。 これとあわせてチベット伝説ホータン王子ヴィジャヤキールティが「カニカ」(Kanika)王とグザン(Guzan、おそらくはクシャンクシャーナ)王とともにインド遠征行ったというものがあること。漢訳仏典中にカニシカホータン出身であると解せるものがある。このことからカニシカ小月氏出身であるとする説もある。 ところが近年新たにカニシカ王碑文解読されクシャーナ朝歴史について多くの新事実が明らかとなった。この碑文1993年アフガニスタンのラバータクで偶然発見されたもので、バクトリア語記され1200字あまりの文書であり、クシャーナ朝時代のものとしては最も長文記録一つである(ラバータク碑文)。内容はこの地方のカラルラッゴ(総督であったシャファロに対してカニシカ王祖先彫像納める神殿建設することを命じたことが記録されたものであった。この結果カニシカ王それ以前の王との間に血縁があったことが判明した。 この碑文の解読によって、曾祖父クジュラ・カドフィセス祖父ヴィマ・タクト、父のヴィマ・カドフィセス、そして碑文を作らせたカニシカの4名4世代の王統判明した。特にヴィマ・タクト従来全く知られていないであったが、彼の存在明らかになったことによって初期クシャーナ朝歴史本質的な修正もたらされた。これまでクシャーナ朝時代発行されコインの中で、ソテル・メガスという称号のみが記されタイプの物がクジュラ・カドフィセスよるものか、ヴィマ・カドフィセスよるものかが論じられてきたが、その多くヴィマ・タクトのものである考えられるようになり、クシャーナ朝大幅な勢力拡大彼の時代行われた可能性考えられている。

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王朝交代説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 03:15 UTC 版)

カニシカ1世」の記事における「王朝交代説」の解説

カニシカ以後カドフィセスからイシカ系列王名が切り替わっていることや、カニシカが独自の暦を定めていること、両カドフィセス時代コインではギリシア語称号ギリシア文字で、プラークリット語称号カローシュティー文字で、併記する様式であったのに対しカニシカ王以後バクトリア語称号ギリシア文字記したものに変化していることなどを根拠として、カニシカ王による王朝交代説が長く多く学者によって唱えられてきた。 これを傍証するものとして、チベット伝説ホータン王子ヴィジャヤキールティがカニカ(Kanika)王とグザン(Guzan、おそらくはクシャンクシャーナ)王とともにインド遠征行ったという物や、漢訳仏典中にカニシカホータン出身であると解せるものがある。 しかし、前述ラバータク碑文解読から、この王朝交代説に大きな反証提示された。この碑文は、この地方のカラルラング(総督辺境長官であったシャファルに対してカニシカ彼の祖先彫像納める神殿建設することを命じたことを記録するものであり、碑文中にカニシカ祖先として曾祖父クジュラ・カドフィセス祖父のヴィマ・タクトゥ、父のヴィマ・カドフィセスの名が記録されていた。この碑文クシャーナ朝史の研究大きな見直しを迫るものとなった

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