特色・人物評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 08:47 UTC 版)
声種はハイバリトン。 10代の少年から老人役、熱いヒーローから小悪党役まで幅広い演技を見せている。 声優界きっての人格者であり、非常に腰が低いことで知られていた。後輩の古谷徹は「誰にでも優しくて、業界の先輩後輩から好かれ尊敬されている人だった」と語っている。富山が主人公の古代進役で出演した大ヒット作『宇宙戦艦ヤマト』で共演したヒロインである森雪役の麻上洋子は、新人の頃から富山に面倒を見てもらい、NGを出した時も「大丈夫だよ」と慰められ、声優としてやっていく事ができたと語っている。 そのような富山の人柄の良さを表すエピソードとして、次のようなものがある。池田秀一が堀内賢雄のマネージャーと酒を飲んでいたとき、「賢雄に電話しろ」という話になったのだが、堀内のマネージャーが誤って富山宅に電話をかけてしまった。池田は酔っていたせいで、最初は間違い電話だと気づかず、先輩の富山に向かって「俺だよ、池田だよ」、「なに気取った声出してるんだ」、「○○で飲んでるから、今から出て来いよ」などと敬語を用いず軽い口調で喋る。これに対し富山は「割と近くね、でも明日早いから行けないの」と終始冷静だった。池田が途中でおかしいことに気づき、「どちら様ですか?」と質問すると「富山敬です」という答えが返ってきたので、慌てて「失礼いたしました」と謝った。富山は「行きたいんだけどね、ごめんね、今度ゆっくり飲もうよ」と優しい言葉をかけてきたという。また、一緒に飲んでいた青野武が酒場で酒癖の悪さから酔っ払って他の客と殴り合いの喧嘩を起こしたときにも、怪我をした青野を家まで連れて帰り朝まで介抱したこともあったという。 親友の富田耕生は「かなり我慢強い性格」だと語る。しかしながら、そのぶん日頃のプレッシャーやストレスも尋常なものでは無かったようで、たばこは1日に3箱吸っていたもようである。また声優界屈指の酒豪で、新潟の銘酒久保田を愛飲していた。富田によると一日に3杯は飲んでいたそうである。こうした過剰な飲酒や喫煙が寿命を縮めたとする声もあった。 富山に憧れこの道を志した、あるいは影響を受けたと語る声優は多い。神谷明は「多大な影響を受けた人物」、井上和彦は「誰も真似出来ないほどレパートリーが広い人だった」、古川登志夫は「この方のような軽妙な演技ができるようになりたい一心で、演技は元より、シャツからセーターからブルゾンから眼鏡までなんでも真似した」と語っている。また小野健一は目標とする役者に富山を挙げている。水谷優子 や杉山紀彰も尊敬する人物は富山だと答えている。森功至や郷田ほづみは、富山の影響で声優の道を志したとも語っている。同じ事務所所属だった小原乃梨子は、「(バオバブ)社内での人気投票ではいつも(富山が)1位だった」と追悼インタビューで語っている。 羽佐間道夫は『銀河英雄伝説』で普段は洋画吹替やナレーション中心でアニメのアフレコに慣れていなかった時、富山に「今、ここで出るんですよ!」「今の台詞は、あそこで切った方がいいんじゃないですか?」といろいろ教えてもらったという。羽佐間は芸歴や年齢は富山より上だが、『銀河英雄伝説』では彼が自分の師匠だったと述懐している。
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