無弁翅亜節 Acalyptratae
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 04:11 UTC 版)
「ハエ」の記事における「無弁翅亜節 Acalyptratae」の解説
大型種もいるが5mm未満の小型の種が多く、ショウジョウバエなど日常生活で「コバエ」と呼ばれているのはこの仲間が多い。 アシナガヤセバエ上科 Nerioidea 頭部がシュモクザメと同様に細く左右に伸び、その先端に眼がつく奇異な形態のシュモクバエ科 Diopsidae が有名である。最近日本でも、八重山諸島でヒメシュモクバエ Sphyracephala detrahens (Walker, 1860)の生息が確認された。 メバエ上科 Conopoidea メバエ科Conopidaeは寄生性のグループで、ほとんどの種がハチ目の有剣類の成虫に飛びかかって体内に産卵する。果樹園で受粉用に飼育している単独性ハナバチ類に大害を与えることがある。 ミバエ上科 Tephritoidea この上科を代表するミバエ科 Tephritidae は植物寄生性であり、農作物の果実を腐敗させつつ食害するウリミバエ Zeugodacus cucurbitae (Coquillett,1899)のような大害虫が著名である。他に虫えいを作ったり葉に潜るなど、様々な寄生のスタイルが知られている。他に幼虫がコガネムシなどに寄生し、成虫がハチそっくりなデガシラバエ科 Pyrgotidaeや、幼虫がチーズや塩蔵生革などに発生するチーズバエ科 Piophilidae などが知られる。 シマバエ上科 Lauxanioidea シマバエ科 Lauxaniidae は腐敗植物質、鳥の巣の汚物で繁殖する他、生きた植物に寄生するものも知られる。 ヤチバエ上科 Sciomyzoidea ヤチバエ科 Sciomyzidae は幼虫が淡水産及び陸産軟体動物の捕食者として多様化した科である。 ヒメコバエ上科 Opomyzoidea ハモグリバエ科 Agromyzidae の幼虫は生きた植物に穿孔する。潜葉時の食痕が「エカキムシ(絵描き虫)」として知られる。 キモグリバエ上科 Carnoidea キモグリバエ科 Chloropidae のヨシノメバエ類は幼虫がヨシの若芽の成長点に侵入し、一部の種では葉巻型の顕著な虫えいを形成する。成虫はヨシの茎上で振動によって雌雄のコミュニケーションを行う。 ハヤトビバエ上科 Sphaeroceroidea トゲハネバエ科のチャバネトゲハネバエ Tephrochlamys japonica Okadome,1967は汲み取り便所などの生活に伴う汚物に発生するので人家付近に普通に見られる。また、本科にはキノコに幼虫が発生するものも多い。 ミギワバエ上科 Ephydroidea ショウジョウバエ科 Drosophilidae には多くの種類があるが、モデル生物として生物学、特に遺伝学に多大の貢献をしたキイロショウジョウバエ Drosophila (Sophophora) melanogaster Meigen,1830が最も知名度が高い。生物学においては、「ハエ」と言えばショウジョウバエ、特にこの種を指す場合も多い。 ミギワバエ科 Ephydridae はその名のとおり湖沼・河川の水際に群れて見られるものが多く、幼虫の生態が極めて多様化していることが知られている。捕食性のカマバエ属 Ochthera は成虫の前脚がカマキリそっくりの捕獲脚に変形しており、他の昆虫を捕らえて食べる。トゲミギワバエ属 Notiphila の幼虫は池などに棲み、蛹化(ようか)の際は抽水植物の組織内の空隙に呼吸管を刺して空気を採る。この属のイミズトゲミギワバエ N. sekiyai は幼虫がイネの根を食害する害虫だが、発生量は少ない。
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