漫画評論における引用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/06 00:52 UTC 版)
漫画評論をするにあたって作品からのコマやページの引用は本来、著作権法の範囲内で権利者に許可なく可能だが、日本の漫画業界では権利者に引用の許可を得る習慣が存在、使用料の要求や著者でなく出版社が許諾権を主張したり、漫画によって潤ってきた出版社が評論の内容によっては引用させないこともあり、1995年に毎日新聞で夏目房之介はどう考えてもおかしく、漫画という商品を近視的に考え過ぎで表現としての面を考えないとよりよい市場展開も考えられないと批判、2000年代に入ると夏目は業界に引用の概念が理解されたのはようやくここ数年の話で、彼はある大手出版社の依頼で日本人なら誰でも知っているある有名キャラクターが実は古代から美術史に見え隠れして現代美術にも影響を与え有名な彫刻作品のパロディを描きながら進む筋書きを考え、編集者はそのキャラの多方面展開をメインとして現代美術と関係付けたかったので喜んでいたが、権利者からの苦情で商品など当たり障りのないもの以外は全て不可となり、権利者の主観で悪い扱いを受ける可能性があるなら認められなかったとみられ、この話は流れた。 編集者は抵抗するも駄目だったが、夏目は作家本人は既に故人で遺族がそういったことを言い出すとの噂は知っており、遺族が故人の評価を気にするのは分かり今までしてこなかった権利関係の業務をやるとなると分からないのは当たり前で、作家本人よりも防衛的になることは考えられるが、それによって遺族が権利契約問題を恣意的に動かすことになると指摘、また同じキャラを引用して書籍に載せると権利を持つプロダクションはより強硬に反対、著作権法の引用範囲について話してもプロダクションの担当者は恐らく条文すら理解せずに取り合ってくれなかった。夏目は感情論で形態に関わらず言説を排除すると冷静な分析や評価する動きの妨げで長く見るとこういった歪みで個人の作家と作品への正当な評価を妨げ、作家の権利関係に携わる者たちの態度によって評価が不当に落ちるのは漫画好きとして悲しいと批判、また遺族と権利関係を巡って似たような話は他にもあるが一番の調整役になれる出版社の編集者に見識とやる気がある人が少ない問題点も挙げた。 夏目はかつては許諾を得ていたが、後に編集部の協力で許諾なしに引用扱いにしてもらったり、弁護士に意見を仰ぐことや、いしかわじゅんのように著書で漫画の絵を引用するときには許諾申請ではなく漫画家に絵と使い方を示したお知らせを送っている。
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