漫画規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 00:54 UTC 版)
「児童・青少年の性保護に関する法律」の記事における「漫画規制」の解説
1960年代後半からの韓国軍事政権下で、漫画は子どもに悪影響を与えるとして「6大社会悪」に指定され抑圧された。1968年に児童マンガ倫理委員会が発足(のちの刊行物審議倫理委員会マンガ部)し、マンガに対する事前検閲が行われるようになった。「低俗」「暴力的」「虚無的」「反抗的」などあいまいな審議基準だったが、社会批判的要素は細かくチェックされた。 1988年の民主化宣言以降は、『マンガ王国』『週間マンガ』『IQジャンプ』『ルネッサンス』といった各種漫画専門誌が次々と創刊され、多様なジャンルの漫画が連載を始めた。 1990年代は少年マンガ専門誌、成人マンガ専門誌、純情マンガ専門誌、成人純情マンガ専門誌などが創刊された。特に純情漫画の勢いが目覚しく、韓国人作家による『ノーマルシティ』『リニージ』『レッドムーン』『北海の星』『火の剣』『BLUE』『風の国』『フルハウス』など数多くの漫画が人気をはくし、スポーツ新聞にも漫画が連載されるようになった。純情漫画の隆盛には、1950年代に海賊版として持ち込まれた日本の作品『キャンディ・キャンディ』『ベルサイユのばら』などが大きな影響を与えた。 しかしいじめなどの増加によって「青少年保護法」「アチョン法」が制定され、漫画は青少年有害物として再び規制されるようになった。真っ先に減ったのは成人漫画だった。当時は、高校生が市販のビデオカメラを使って裏ビデオを制作し、コピーして配布した「赤いマフラー事件」など、青少年の犯罪が相次いでいた。 検挙された高校生は「日本の漫画(劇画)を見てマネをした」と発言し、警察はほぼ同時に学校暴力事態の主犯として漫画を指名するなど、「漫画のせいで犯罪が起きている」として、1700種510万冊の有害コミックリストを発表し、押収捜査などを行った。このとき議論された作品は『ろくでなしBLUES』など。漫画家らの逮捕・起訴も行われ、成人向け漫画市場は壊滅的被害を受けた。 2012年の法改正では、アチョン法のほかに6つの改正法案が国会本会議で可決された。2011年に起きた残酷な小学生強姦傷害「チョ·ドゥスン事件」など、凶悪な性犯罪事件が相次いで発生したことを受けて、2012年9月10日、国会に「児童・女性対象性暴力対策特別委員会」が設置されたことが端緒となった。児童性犯罪を防ぐために法の適用範囲を強化するためとみられる。
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