法律・政令・府省令に準じる法形式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 02:38 UTC 版)
「法令」の記事における「法律・政令・府省令に準じる法形式」の解説
太政官布告・太政官達 1868年に政体書によって設置され、内閣制度が創設されるまで存続していた最高官庁である太政官が制定していた法形式である。一般国民を拘束する内容を持つものを太政官布告とし、官庁限りの心得を太政官達としていたが、必ずしもその区別が守られていたとはいえなかった。太政官制度が廃止された後も、後に制定された法令に矛盾しない限りその効力を有し、大日本帝国憲法施行後もこれに抵触しない限りでなお従前の効力を有し、また、日本国憲法施行後も大日本帝国憲法下で法律又は勅令としての効力を認められたものは、現憲法に違反しない限り効力を有する。太政官布告第何号というのは制定時には付されておらず後日編纂された法令全書において番号が付された。 勅令 天皇が発し、または、発させた成文法(いわゆる天皇の命令)。法律と異なり、帝国議会の協賛を経ずに、天皇の大権によって制定された命令である。天皇が勅令を定めるにあたっては国務各大臣が輔弼したため、事実上、国務各大臣ないし内閣が発する法形式である。 大日本帝国憲法第9条は、「天皇ハ法律ヲ執行スル爲ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル爲ニ必要ナル命令ヲ發シ又ハ發セシム」と定めた。勅令によって法律を変更することはできなかった(同条後段)。勅令の目的は「法律を執行するため」「公共の安寧秩序を保持するため」「臣民の幸福を増進するため」と定められたが、憲法上法律事項とされていない事項については、法律に基づかなくとも制定できた。法律事項以外でも、軍に関することは軍令で、皇室に関することは皇室令で定めたので、これらを除いたものが勅令事項とされていた。現行の政令に相当し、改正または廃止する場合は政令による。ただし、勅令の中でも法律の効力を持つと解されるポツダム勅令については法律による。緊急勅令 勅令の一種。通常の勅令と異なり、「法律ニ代ルヘキ」として法律事項について制定された。大日本帝国憲法8条は、「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ發ス」と定めた。緊急勅令の目的は「公共の安全を保持し、または、その災厄を避けるため」とされ、「緊急の必要により」制定することとされたが、広くあらゆる事項を対象とすることができた。帝国議会閉会中に限って制定でき、帝国議会の次の会期に提出しなければならなかった。提出された緊急勅令が議会の承諾を受けないときは、将来に向かって効力を失うこととされた(同条第2項)。なお、「緊急勅令」という呼称は講学上のもので、法令上の正式な呼称及び法令番号での表記は単に「勅令」であった。官報公布時の上諭(公布文)に緊急の勅令である旨が記載されることで、通常の勅令と形式的に区別できる。 閣令 内閣官制(明治22年勅令第135号)第4条に定められた法形式で、主任の事務を担当する大臣の一人としての内閣総理大臣の命令であり。その効力も他の大臣が定める省令と同等で、現行の府省令に相当する。 総理庁令 行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、総理庁の所管する事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。 法務庁令 法務庁設置法第2条第3項により準用される行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。 総理府令 国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、総理府の所管事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。 法務府令 国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。
※この「法律・政令・府省令に準じる法形式」の解説は、「法令」の解説の一部です。
「法律・政令・府省令に準じる法形式」を含む「法令」の記事については、「法令」の概要を参照ください。
- 法律政令府省令に準じる法形式のページへのリンク