法実践に関する主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 14:55 UTC 版)
憲法無効論は、一般に、「実効性をまったく無視した議論」であって「効果的な法実践」は不可能とされている。一方で、法的安定性を保ちつつ、法実践を行うために、無効論者からはいくつかの案が出されていた。 憲法失効論に立つかぎり日本国憲法はすでに失効しているため失効宣言をするまでもなく無憲法状態となる。この場合不文法および慣習による統治が継続していたこととなり、直ちに日本国憲法に含まれる(含まれていた)重要な法理や法手続、理念、あるいは下位法令までもが自動失効するわけではない。またプープル主権説に立つ限り、現代をいきる有権者団の利害得失を前提とした理念や法理との整合性が問われる。 手続き上の憲法改正を無効とする憲法無効論に立つ場合は、1947年に実施された憲法改正の無効を宣言することで大日本帝国憲法の継続を宣言する。これについては、日本国憲法を完全に無効とする見解も存在するが、事情判決の法理等の援用により憲法無効の確認前までに日本国憲法に基づいて行われた統治行為は有効とする見解が有力である。もっとも、この場合、政策論として憲法の無効を宣言するメリットが存在するのか、という問題が存在する。新無効論では、大日本帝国憲法は今現に施行されており、かつ、日本国憲法も講和条約として施行されているのであり、「規範そのものの復原」ではなく「規範意識の復原」を主張している。 「日本国憲法の始原的無効(定立の時点で無効)宣言」及び「日本国憲法は憲法典ではなく一種の講和条約であることの確認」と同時に「大日本帝国憲法が現存しているとの認識の回復」及び「帝国憲法改正」を主張する立場からは「真正護憲論」、日本国憲法の失効宣言を行うとの立場からは自主憲法論を主張する者もいるが、その違いは曖昧であり、一般には区別されることはない。例えば「新無効論」(真正護憲論)の立場に立つものの中は維新政党・新風や生活の党、次世代の党などの「旧無効論」(自主憲法論)を主張する政党・議員を支持する者も確認されている。 現在では、生活の党は自由党へと改称し、憲法復原に関する主張は公式には行わず、「日本国憲法における基本理念、原理は、人類普遍のものであり、守られるべき価値観であるとともに、国民の間に定着している。このことをもってすると、占領下だから無効などという粗雑で形式的な議論をすべきではないと考える」「憲法の4大原則を堅持しつつ、『時代にあった憲法』にするために『憲法の規定を一部見直し、足らざるを補う』こと」を表明しており、党としては「加憲」の立場としている。次世代の党は日本のこころへと改称され、こちらも党としては公式に憲法無効論を訴えているわけではない。日本維新の会は憲法無効論に関する統一見解は発表していないが、維新の会の初代代表だった橋下徹は憲法無効論を否定している。みどりの風は解党しており、減税日本も国政選挙では憲法に関する公約を述べていない。自由民主党は西田昌司のように一部には憲法無効論を唱える議員もいるが、総裁であった安倍晋三は憲法無効論には否定的である。旧民主党では民社協会の流れをくむ議員の一部に憲法無効論を公に主張している議員は存在した。また、自主憲法制定国民会議は現在では憲法無効論を「合理的ではない」として否定している。一方、維新政党・新風や新政未来の党、志士連合といった保守・右派系政党(政治団体)は憲法無効論を支持している。
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