法と経済学の歴史とは? わかりやすく解説

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法と経済学の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:09 UTC 版)

法と経済学」の記事における「法と経済学の歴史」の解説

18世紀初頭に、アダム・スミス重商主義者の立法もたらす経済的効果議論したその後も、独占禁止法証券取引法などの分野においては経済学アプローチ用いられた。しかし近年まで、経済学が、市場外の活動調整する法律分析適用されることはなかった。1961年に、ロナルド・コースおよびグイド・カラブレイジは、「社会的費用問題」および「危険分配不法行為法に関する若干考察」という論文を、それぞれ独自に公表した。これらが、現代における法と経済学起源であるとみなされている。その後シカゴ大学ロー・スクール教授アメリカ合衆国第7巡回区控訴裁判所裁判官判事)のリチャード・ポズナーなどを中心に多く研究者によって研究進められてきた。 1970年代以降アメリカ主なロースクール法と経済学教育プログラム設けられるようになった今日では、法と経済学ハーバード大学エール大学シカゴ大学スタンフォード大学ジョージタウン大学ミシガン大学などのロースクール経済学部発展続けている。現代アメリカでは法政策に関わるテクノクラート官僚法と経済学理解し実際政策法整備などに必須のものとなっている。 法学世界で用いられる場合には、企業法経済法分野などで、何が合理的認められるべきものなのか、何は不合理否定されるべきものかを決定する背景基準として用いられる場面みられる例えば、企業を巡る多数当事者利害関係調整する場合に、単純な古典的モラルによって正邪決めにくい場面であっても、経済的合理性をもって価値を図ることによって、より説得的で、かつ、経済面でも発展損なわない結論法学として導くことが期待されている。 ただし、資源配分効率化最適化目的関数とする経済学アプローチ当然のことながら「社会的公正」の要素考慮しないため、正義実現という価値判断必要な法律においては、そのアプローチ限界をも十分に認識すべきであり、経済学アプローチ普遍的に通用するものではない。たとえば、「パターナリスティック介入による資源配分であっても社会保障分野のように、そのこと自体公平性実現から期待される場合もあるからである。 また経済モデルのような高度に抽象的なモデルから得た解が現実社会の中でうまく働くとは限らないが、法と経済学は法という現実社会に密接に関わる分野について経済学応用する学問分野であることから、つねに現実との対話が必要となる。とすると、現実社会のなかでは何が経済的に合理的なのかという判断自体経済学者の間で論争となることも多く経済学利用によって現実社会の中で一意最適な解が得られるとは限らない近年ではヤミ金問題端を発した消費者金融における上限金利引き下げについて、池尾和人大竹文雄との論争など経済学者中でも意見別れたことが注目された。

※この「法と経済学の歴史」の解説は、「法と経済学」の解説の一部です。
「法と経済学の歴史」を含む「法と経済学」の記事については、「法と経済学」の概要を参照ください。

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