治療の成果
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未来を見据える形で行われた治療意図の研究は、1998年にジョンズ・ホプキンス病院の研究チームが発表し、2001年にはその追跡調査の研究結果についてまとめた報告書を公表している。ほかのケトジェニック療法の研究にみられるように、比較対照群(治療を受けなかった患者)は用いなかった。この研究には、子供の患者150人を被験者として登録した。実験開始から3か月後、患者全体の83%はこの食事法を続け、26%は発作の良好な減少が、31%は非常に優れた形での発作の減少が確認され、3%は発作がなくなった。「発作の良好な減少」は、「発作を起こす頻度が50~90%以上に低下する」、「非常に優れた減少」は、「発作の頻度が90~99%以上に低下する」と定義されている。 実験開始から12か月後では、55%がこの食事法を続け、23%は良好な反応を、20%は非常に優れた反応を見せ、7%は発作がなくなった。この段階でこの食事法を中止した患者も出たが、それはこの食事法の効果が出なかったり、病気のためにこの食事法そのものを止めたためである。それ以外の患者の多くは、この食事療法による恩恵を得られた。実験開始から2年、3年、4年と経過した時点でもこの食事法を続けていた患者の割合は、それぞれ39%、20%、12%であった。実験期間中、この食事法の中止に至った理由でもっとも一般的なものは、「発作が治った」「症状が目に見えて改善された」が挙げられる。実験開始から4年目、患者150人のうち、16%は発作の良好な減少が、14%は非常に優れた減少が見られ、13%は発作がなくなった。これらの数字には、この食事療法を続行中の患者も含まれる。この期間を過ぎてもこの食事法を続けている患者の場合、発作がなくなったわけではないが、非常に優れた反応を示した。 複数の小規模な研究の結果を組み合わせることで、個別の研究のみで得られる結果に比べて、より説得力のある証拠を生み出せるようになる。これは「メタ分析」(Meta-Analysis)と呼ばれる統計的手法である。2006年に行われた4つのメタ分析のうちの1つでは、患者数の合計が1,084人にのぼる19の研究について調べたものがある。このうちの3つ目のメタ分析研究では、「患者の発作の頻度は非常に優れた形で減少し、患者の半数は発作の良好な減少が見られた」と結論づけている。 2018年にコクラン共同計画(Cochrane Collaboration)が行った論文研究では、薬剤では発作の抑制には至らなかった癲癇患者に対して処方されたケトジェニック療法のランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial)11件について分析している。このうちの6件の試験では、ケトジェニック療法に割り当てられた群とそうでない群とを比較した。ほかの試験では、食事法を導入することでどこまで持ちこたえるかを比較した。対照群を用いないケトン食療法を取り扱った最大規模の試験においては、ケトン食に割り当てられなかった群6%と比べて、ケトン食に割り当てられた群の小児と若者の38%は、発作を起こす確率が半分以下に低下した。ケトン食と比較する目的で行われた修正アトキンス・ダイエットを取り入れた2件の大規模試験でも似たような結果が示され、50%以上の子供が、対照群10%と比べて発作を起こす確率が半分以下に低下した。 2018年に行われた論文研究では、成人に処方したケトン食療法についての16の研究を精査しており、「ケトジェニック療法は、より一般的な治療法になりつつあり、子供にも大人にもほぼ同じ効果を発揮し、その副作用は比較的軽度である」と結論づけている。しかしながら、患者の多くはさまざまな理由でこの食事法を途中で中止し、その医学的根拠および臨床結果の質は、小児研究に比べて低くなっている傾向にある。健康上の問題については、低密度リポタンパク(Low-Density Lipoprotein)の上昇、総コレステロール値の上昇、体重減少がある。
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治療の成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 10:11 UTC 版)
「ケトジェニック・ダイエット」の記事における「治療の成果」の解説
前向き(将来的に起こる事象を収集するという意味)に行われた治療意図の研究は、1998年にジョンズ・ホプキンス病院の研究チームが発表し、2001年にはその追跡調査の研究結果についてまとめた報告書を公表している。他のケトジェニック療法の研究に見られるように、比較対照群(治療を受けなかった患者)は用いなかった。この研究には、子供の患者150人を被験者として登録した。実験開始から3か月後、患者全体の83%はこの食事法を続け、26%は発作の良好な減少が、31%は非常に優れた形での発作の減少が確認され、3%は発作が無くなった。「発作の良好な減少」は、「発作を起こす頻度が50~90%以上に低下する」、「非常に優れた減少」は、「発作の頻度が90~99%以上に低下する」と定義されている。 実験開始から12か月後では、55%がこの食事法を続け、23%は良好な反応を、20%は非常に優れた反応を見せ、7%は発作が無くなった。この段階でこの食事法を中止した患者も出たが、それはこの食事法の効果が出なかったり、病気のためにこの食事法そのものを止めたためである。それ以外の患者の多くは、この食事療法による恩恵を得られた。実験開始から2年、3年、4年と経過した時点でもこの食事法を続けていた患者の割合は、それぞれ39%、20%、12%であった。実験期間中、この食事法の中止に至った理由でもっとも一般的なものは、「発作が治った」「症状が目に見えて改善された」が挙げられる。実験開始から4年目、患者150人のうち、16%は発作の良好な減少が、14%は非常に優れた減少が見られ、13%は発作が無くなった。これらの数字には、この食事療法を続行中の患者も含まれる。この期間を過ぎてもこの食事法を続けている患者の場合、発作が無くなったわけではないが、非常に優れた反応を示した。 複数の小規模な研究の結果を組み合わせることで、個別の研究のみで得られる結果に比べて、より説得力のある証拠を生み出せるようになる。これは「メタ分析」( Meta-Analysis )と呼ばれる統計的手法である。2006年に行われた4つのメタ分析のうちの1つでは、患者数の合計が1084人にのぼる19の研究について調べたものがある。このうちの3つ目のメタ分析研究では、「患者の発作の頻度は非常に優れた形で減少し、患者の半数は発作の良好な減少が見られた」と結論付けている。 2018年にコクラン共同計画( Cochrane Collaboration )が行った論文研究では、薬剤では発作の抑制には至らなかった癲癇患者に対して処方されたケトジェニック療法のランダム化比較試験( Randomized Controlled Trial )11件について分析している。このうちの6件の試験では、ケトジェニック療法に割り当てられた群とそうでない群とを比較した。他の試験では、食事法を導入することでどこまで持ちこたえるかを比較した。対照群を用いないケトン食療法を取り扱った最大規模の試験においては、ケトン食に割り当てられなかった群6%と比べて、ケトン食に割り当てられた群の小児と若者の38%は、発作を起こす確率が半分以下に低下した。ケトン食と比較する目的で行われた修正アトキンス・ダイエットを取り入れた2件の大規模試験でも似たような結果が示され、50%以上の子供が、対照群10%と比べて発作を起こす確率が半分以下に低下した。 2018年に行われた論文研究では、成人に処方したケトン食療法についての16の研究を精査しており、「ケトジェニック療法は、より一般的な治療法になりつつあり、子供にも大人にもほぼ同じ効果を発揮し、その副作用は比較的軽度である」と結論付けている。しかしながら、患者の多くは様々な理由でこの食事法を途中で中止し、その医学的根拠および臨床結果の質は、小児研究に比べて低くなっている傾向にある。健康上の問題については、低密度リポタンパク( Low-Density Lipoprotein )の上昇、総コレステロール値の上昇、体重減少がある。
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