治療と支援
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 22:02 UTC 版)
ペドフィリアは、激しい怒り・恐怖・拒絶の対象になりやすく、世間では悪や罪とみなされやすい。精神障害の中でも最も社会的スティグマを背負っているもののひとつとされる。1998年、3人の心理学者がアメリカ心理学協会(APA)の学術雑誌『Psychological Bulletin』に、「大人との未成年者の性行為は必ずしも害にはならない。強要・強制される行為とそうでないものとを分けて考える必要がある」という内容の論文を発表し、これに対して連邦議会の両院がその論文を強く非難する決議案を可決、ミシガン大学教授のブライアン・キムバトラーはこの連邦議会の対応について苦言を呈した。 小児性愛に関する情報を提供する支援プロジェクト「PedoHelp」では、小児性愛者は怪物や虐待者ではなく支援を必要とする人であると説明している。 児童へ性的な接触はしないと主張するペドフィリアの人たちは苦悩と不安を抱え、自己嫌悪や自殺を考えるケースもある。小児性愛者の約46%が自身の性的関心が原因で自殺を考えたことがあるとの調査結果もある。 そのためできるだけ早い時期に医療の助けが必要とされ、専門のセラピストを紹介する慈善団体もあるが、支援制度は不十分で、ペドフィリア当事者もなかなか専門家に相談しようとしないことがある。また、自分の意思で行動を抑えられず、逮捕されないかぎりずっと性犯罪行為を続ける傾向が強い。その理由として、児童への性的接触を悪いことであると認識せず、「純粋な愛情だ」「性教育のため」「相手も望んでいた」などと正当化することも挙げられる。さらに事件が報じられた際、「(被害者である)児童が悪い」と非難する声もインターネット上でたびたびあがるように、児童側の「非行」として片づけようとする人もいる。これらの思考の背後には、反社会性パーソナリティ障害または自己愛性パーソナリティ障害が一部ある可能性も指摘されている。 ペドフィリアの治療は薬物療法もあるものの、基本は「行動変容」と「認知のゆがみ」の観点から認知行動療法のアプローチをとり、とにかく問題行動を止めることが優先される。アメリカのメーガン法では、GPS着用による位置把握や、法定雇用主への情報開示、ネットでの個人情報の公開などを小児性犯罪者に対して実施しているが、これによって孤立し、再犯が起きる可能性もあり、継続的な治療教育を組み合わせないと意味がないと指摘する専門家の声もある。
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