治療、対処
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 00:24 UTC 版)
医師の診断に基づき、主に言語聴覚士によって各種の検査、評価、訓練、指導がなされる。 発話訓練 生まれつき、または3~5歳までの言語機能形成期に聴覚を失ったり、聴力に低下を来した場合、発話障害を伴う場合がある。しかし、最近の聾学校では性能が発達した補聴器の装用で発話訓練を十分に行うようになっている。このため、昔は聾唖(ろうあ)・瘖唖(いんあ)と呼ばれたが、最近では発話面の障害がないことが多いため聾者(ろうしゃ)と呼ばれることが多い。ちなみに、「聾」・「瘖」は聞こえないこと、「唖」は話せないことを指す。 補聴器 加齢などで聞こえの程度に不自由を生じた場合、補聴器を装用することが多い。集音器や拡声器と異なり、補聴器では特定周波数の音圧を上げることができる。ただし、特定周波数をとらえる聴覚神経が欠損している場合もあり、補聴器を装用したからといって、必ずしも健康な状態と同等の聞こえになるとは限らない。患側耳のマイクに入った音を健側耳のスピーカーに流すクロス型補聴器も登場している。 人工内耳 聴神経に音が伝わらない場合、内耳の中に電極を挿入して、補聴システムでとらえた音声信号を電気信号に変えて、その電極から聴覚神経へ直接伝える人工内耳が普及してきた。電極の数に制限があり、一方残存聴覚神経にも個体差があるため、電子回路で患者一人一人に合わせた信号補正を行っている。人工内耳の手術後も言語聞き取りのために訓練期間が必要になってくる。同様な人工聴覚器として人工中耳や聴性脳幹インプラント、埋込型骨導補聴器が登場している。 文法訓練 聴覚障害教育で「9歳の壁」「9歳の峠」と言う言葉が使われているが、これは重度聴覚障害者のコミュニケーション能力が小学3~4年生で停滞してしまう現象を指す。同学年から抽象的思考や文章の複雑化が始まるため、音声言語非習得者が躓きやすい。聴覚障害教育では早期に文法訓練などを実施して克服を図っている。 新生児聴覚スクリーニング(新生児聴覚検査) 出生後早期に産科・小児科において他覚的聴力検査を実施することで先天性難聴の早期発見を目的としている。スクリーニングで要再検査と判定された新生児に対しては耳鼻咽喉科に引き継ぎ精密検査を実施する。 義耳 耳介の機能が何らかの理由で失われた場合に装用する人工耳介(顔面エピテーゼの一種)を義耳という。形成外科の領域であるが、耳介がないことによる伝音性難聴の治療に使われる。
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