民主党政権による変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:59 UTC 版)
「年齢主義と課程主義」の記事における「民主党政権による変化」の解説
2009年8月30日の総選挙で民主党が大勝し、政権交代が確実となった。民主党は以前より教育関連の政策を発表しており、それらの実施が確実視されている。重要な政策のうち一つは子ども手当制度で、もう一つは高校授業料無償化・就学支援金支給制度である。 民主党のマニフェストによると、子ども手当は「中学卒業までの子どもに対して年間約30万円を支給する」となっており、マスメディアもそのように報道しているが、実際にはマニフェストの説明は正しくない(マニフェストには年齢制限があることは一切書かれていない)。支給の要件は、完全に年齢が基準となっており、中学を卒業していなくても15歳の3月で支給が打ち切られる。また、小学校や中学校に在籍しているかとは無関係に支給されるため、マニフェストの「中学卒業」の語句はまったく関係ない。これについては、民主党の広報担当者が電話取材に対して明言している。この部分においても、中学校の卒業は15歳でなければならないという思想が存在する。 また、民主党は高校授業料無償化・就学支援金支給制度を実施しているが、当初の法案では、公立高校や私立高校に通う20歳までの生徒の保護者に対して授業料相当額(上限あり)を支給するというものであった。20歳という年齢制限があることから、高年齢者が高校に在学することは低年齢者と比較して経済的に負担が大きくなり、この政策は高校生の低年齢化を強める可能性があった。なお、民主党の宣伝や大手マスコミでは、年齢制限について触れず、全ての生徒が対象であるかのように報道していた。なぜ年齢制限が予定されていたかの理由は不明であるが、実際に施行される法律では、年齢制限がなくなり、学校設置者に対する給付に修正された。 上記の二つの事例で、いずれも民主党や大手メディアが、その制度に年齢の上限があることについてほとんど明言をすることがないのは、日本では高年齢の生徒が著しく少ないため、それによって影響される人が限られているからだと考えることもできる。 一方、町村信孝、河村建夫ら自民党の文教族議員が野党に転落したことで、彼らの主張していた在学年齢自由化や原級留置の適用拡大の検討は、ひとまず棚上げにされる可能性もある。 また、2010年4月から施行される子ども手当法では、驚くべきことに高校までもが18歳で卒業することを前提とした書き方がなされている。条文には、「十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日を経過した児童手当法第三条第一項に規定する児童(次号において「小学校修了後高等学校修了前の児童」という。)」との表記があり、「児童手当法第三条第一項に規定する児童」とは「18歳の4月1日の前日までの児童」であるから、この文章は「小学校は12歳で卒業し、高校は18歳で卒業する」という意味となる。また「中学校は15歳で卒業する」という前提の表現も存在する。このように、法律の条文にまで高校までが年齢主義によって運営されているのが唯一正しいとするかのような表現が登場している。なお、今までの児童手当法にも、小学校は12歳で卒業することを前提とした表記はあったが、中学校や高校までも同年齢で卒業すべきとの表現は存在しなかった。このように、民主党の政策には高校まで年齢主義を推進しようとする意向が覗える。 この問題については、子ども手当法案#年齢と学歴の混同も参照。
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