民主党政権による国有林野事業の一般会計化と森林保険改革
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「林野庁」の記事における「民主党政権による国有林野事業の一般会計化と森林保険改革」の解説
その後、2009年8月の第45回衆議院議員総選挙により、民主党を中心とする連立政権が成立すると特別会計廃止後の国有林経営は、事業・組織の一部独立行政法人化から、事業全体の一般会計化へと転換されることになった。民主党は総選挙に際して、「国有林野事業特別会計を廃止し、その組織・事業の全てを一般会計で取り扱う」ことを公約していた。2009年12月25日、農林水産省(赤松広隆大臣)が「森林・林業再生プラン」を公表し、国有林野事業全体を一般会計に移行させることを検討するとした。また、鳩山由紀夫内閣は同じ日に「独立行政法人の抜本的見直しについて」を閣議決定し、森林国営保険と国有林野事業の独立行政法人化は凍結されることになった。 2010年10月に行われた内閣府行政刷新会議の「事業仕分け」では、国有林野事業特別会計と森林保険特別会計も爼上にのぼった。「ワーキンググループB」(長妻昭ほか)は林野庁の示した改革案と同様に国有林野事業特別会計を「一部廃止し、一般会計化する」、「負債は区分経理して国民負担を増やさない」との評価結果を出した。森林保険特別会計は、同様にワーキンググループBが、「廃止(国以外の主体へ移管)(早急に、移管する主体を検討。それまでの間、暫定的に区分経理を維持。)」、資金のあり方については「積立ての水準を見直し、現在の保険料水準に反映」との評価結果を出した。 2011年7月、菅直人第2次改造内閣は「森林・林業基本計画」の変更を閣議決定した。これによると国有林野事業は「債務を区分経理した上で、組織・事業の全てを一般会計に移行することを検討」。森林保険特別会計については、上の行政刷新会議事業仕分けの評価結果を踏まえ、具体的な検討を進めるとした。 鹿野道彦大臣の諮問を受けて、2011年1月から国有林野事業の経理について検討を続けてきた林政審(国有林野部会)は、同年12月16日に「今後の国有林野の管理経営のあり方について」を答申した。答申は、今後の国有林野事業の経理区分のあり方について、「企業性を基とする企業特別会計ではなく、一般会計において一体的に実施することが適当である。また、立木等の資産や組織・職員についても、すべて一体的に一般会計に帰属させるべきである」と結論した。また国有林野特会の債務は新設する債務返済に特化した特別会計に継承させ、今後も林産物収入によって返済を進めるとの見通しを示した。 この答申に沿って「国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るための国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する等の法律案」が策定され、2012年3月2日、野田第1次改造内閣が閣議決定、同日中に第180回国会に提出した。法案は2012年4月16日に参議院、6月21日に衆議院でともに全会一致で可決された。一部の規定を除いて2013年4月1日から施行された。 なお森林国営保険の改革は森林整備部と懇談会の「森林保険制度に関する検討会」の検討を経て、2015年4月1日から国営から国立研究開発法人森林総合研究所(国立研究開発法人森林研究・整備機構)による運営に移行した。
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