標準服の採用を巡る問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/28 07:13 UTC 版)
東京都中央区特認校の泰明小学校では、2018年4月に入学する1年生に対し、イタリアのファッションブランド「アルマーニ」がデザインを監修した新しい標準服への変更を予定した。同校における標準服は学校側が推奨する服装であって着用を強制するものではないが、ほとんどの児童が指定の標準服を着ており、事実上の学校制服となっている。従来の標準服の価格が1万7,000円〜1万9,000円ほどだったのに対し、「アルマーニの標準服の価格は最大で8万円を超え、価格が従来の倍以上になった」「保護者が反対している」と報道されたことで疑問や批判の声が相次いだため、中央区教育委員会は記者会見を開いた。学校は、2017年9月、入学する児童の保護者説明会で、アルマーニの標準服に変更すると説明したが、2017年11月まで具体的な価格は明示していなかった。2017年10月、中央区教育委員会に「変更の理由が理解できない」といった保護者からの意見が寄せられたため、教育委員会がアルマーニの標準服を採用した理由を学校に確認した。その際、校長は「銀座の中で育てられてきた学校。銀座に誇りを持ち、絆を感じられる標準服にしたかった」と説明していた。また、2018年2月8日の衆議院予算委員会では寺田学によってこの問題が取り上げられるなど、国会においても物議を醸した。寺田は「学校長の考え方一つで決まってしまう。実態を見ながら考えなければいけない」と問題提起した。これに対し、文部科学大臣林芳正は「いろんな考え方があってはいいと思うが、ちゃんとみんなが納得の上で、進んでいくことが望ましい」「決める過程で、保護者などともう少し話をして決められればなという印象を持った」と述べた。さらに、副総理兼財務大臣麻生太郎は「アルマーニの話は初めて聞いたので言いようがないが、はっきり言ったら高いのだろう。結構高いと思う」と述べた。朝日新聞によると、制服など必須とされるのは合計約4万円であり、その他の希望者のみ任意で購入するバッグ、ベスト、セーター、くつ下などを全て購入すると8万円以上となる。西日本新聞は2月14日の記事で、2月13日までの間で450件あった区への問い合わせのうち、苦情が多かった一方で、保護者からは「問題ないという合意があった」「騒ぎになり心配だ」といった声も上がっていると報道している[リンク切れ]。読売新聞によると、2018年2月23日時点で、春の入学予定者60人中54人が採寸と入金を済ませている[リンク切れ]。朝日新聞によると、2月27日までの全国から中央区に659件の意見が寄せられた。5人の入学辞退者が出たが、残る入学予定者55人が同月27日までに新標準服の注文と支払いを済ませた。同月27日までに学校側と45人の新1年生の保護者の個別面談を終えたが、新標準服への不満の声は特に上がっていないという。2月27日には在校生336人の保護者らを対象とする説明会に98人が出席し、出席者からは「安全・安心に教育を受けられるか」「不審者が校内に侵入するのでは」といった不安の声が出た。新入生全55名がアルマーニの制服を着用して入学したことで、『女性セブン』は2018年4月26日号で「泰明ブランドに憧れて入学させる保護者にとっては、価値の底上げにつながっていたようだ。」「ふたを開けてみれば騒いでいるのは外部だけだったのだ。」と伝えている。
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