本来の夜の数と物語数そして結末とは? わかりやすく解説

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本来の夜の数と物語数そして結末

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 01:57 UTC 版)

千夜一夜物語」の記事における「本来の夜の数と物語数そして結末」の解説

千一夜」は、9世紀ごろに原型ができ、原型作られイスラム世界でも多様な版が存在し、やがてヨーロッパ紹介されていくにつれ数多くバリエーション生まれたことが大きな特徴である。現存するいろいろな版を比較すると、収録されている話も順序もかなり違うが、最初二百数十夜くらいはほぼ共通している。当初題名沿革にもあるように「千夜」であり、それがいつ「千一夜になったか、正確にはまだわかっていない。12世紀頃、カイロ貸本屋での貸出記録に「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」(アラビア語: ألف ليلة وليلة‎,千一夜)を見ることができるため、12世紀頃までには「千一夜となっていたことがわかる。 「千一夜」という題名ゆえに、ヨーロッパ初めて「千一夜」を紹介したアントワーヌ・ガランは、本来は1001夜の完本があるはずと信じていた。例えば、ガランは、1704年に「千一夜」のアラビア語写本からフランス語版千一夜」を出版した際、アラビア語写本には存在しない話を加えている。それは、以前から所有していたアラビア語写本シンドバットという商人冒険物語である。さらにガランは、1709年オスマン帝国アレッポキリスト教徒から、アラジンアリババ空飛ぶ絨毯など17物語聞き取り、それらを加えて再度千一夜」を出版した。 「千一夜アラビア語写本には、結末はなく、夜の数は282夜(およそ35話)だが、結局ガランによる翻訳版(1704年1717年)では、およそ480となった234以降、夜の区切りなし。およそ60話)。こうしてヨーロッパで残り物語探し盛んになるにつれ、中東聞き取った多く物語等が無秩序に付加されて、ついに19世紀には現在の1001夜分を含む形での出版至ったまた、千一夜」の結末はいくつもの創作がなされ、フランス語刊行された「ガラン版」「マルドリュス版」、アラビア語刊行された「カルカッタ第二版バートン版)」「ブレスラウ版」など、版により異なる。例えば、シャフリヤール王がシェヘラザード愛するようになる点ではおおむね同じだが、そこにいたる過程で、シェヘラザードの子供がやって来て王に慈悲を願う版があり、その子供の数も1人~3人と版により異なる。また、最後に子供登場しないガラン版」や「ブレスラウ版」もある。シェヘラザードが王に命乞いをする「カルカッタ第二版バートン版)」(他の版はしない)。シェヘラザードの妹ドゥンヤザードが、王シャフリヤールの弟シャーザマーンと結婚して幸せ暮す「マルドリュス版」「カルカッタ第二版バートン版)」など、様々な結末創作された。 現存する最古写本とされるガランアラビア語写本収録されていたのは、東洋文庫版でいうと、第1巻第2巻、そして第3巻冒頭の「ヌールッ・ディーン・アリーとアニースッ・ジャリースの物語」、第6巻の「アリー・ビン・バッカールとシャムス・ウン・ナハールとの物語」、それに続く「カマル・ウッ・ザマーンの物語冒頭部分第15巻の「ホラサーンのシャフルマーン王の物語(ジュナールの物語)」くらいであり、残りはすべてガラン写本以外の資料典拠としている。現在の千一夜」は、成立当時の姿の何倍にも膨らんでいる。 「千一夜」は、これという底本がない古典であり、底本がないゆえにどんどん新し物語加えられ、さらにヨーロッパ中東という二つ文明の間を行ったり来たりするうちに変形進んだ物語といえる偽写本捏造もしばしば行われた。しかしオリジナルがないゆえに、どれが正しくどれが誤りといった判断をするのは困難である。いつ、どの話が加えられたのかという判断難しくまた、いつの段階までに収録された話を正式の「千一夜」と呼ぶのか、といった定義のようなものがあるわけではない

※この「本来の夜の数と物語数そして結末」の解説は、「千夜一夜物語」の解説の一部です。
「本来の夜の数と物語数そして結末」を含む「千夜一夜物語」の記事については、「千夜一夜物語」の概要を参照ください。

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