本来の仏教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 14:23 UTC 版)
植木雅俊は自著のなかで、さまざまな原始仏典を引用し、歴史に実在した人物としての釈迦が主張したこと、いわば「本当の仏説」を復元推定した。 本来の仏教の目指した最低限のことは、①徹底して平等の思想を説いた。②迷信やドグマを徹底的に否定した。③絶対神に対する約束事としての西洋的倫理観と異なり、人間対人間という現実において倫理を説いた。④「自帰依」「法帰依」として自己と法に基づくことを強調した。⑤釈尊自身が「私は人間である」と語っていたように、仏教は決して人間からかけ離れることのない人間主義であった――などの視点である。 このような視点から、真作でなくても、この基準を維持し守ろうとするものは切り捨てるべきではない。その場合、「真作ではないが、このようなことを主張しなければならなかった歴史的必然性があった」というように但し書きを付けた上で、その文献を評価すべきである。 真作か偽作かということにこだわって、真作でないと判断したら一顧だにしないというのは、日本に典型的な「だれが書いたかを見て、何が書かれているかを見ようとしない」ということと本質は同じことである。 植木雅俊によると、釈迦の死後、部派仏教の時代に最有力となった説一切有部の教団は権威主義化し、自分たち男性出家者の利権を守るため、原始仏典の教えを改竄して、釈迦を神格化し、仏弟子から在家と女性を排除するなどの差別を設けた。そのため、本来の仏教に帰ろう、と主張する一派が大乗経典を書いたとされる。
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