本の内容と背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/04 00:37 UTC 版)
カレンバックは、カリフォルニア北部から太平洋北西部にかけて共通して見られるテクノロジー、ライフスタイル、風習、物の見方という糸を紡いで、この小説を書いた。 「最先端なるもの」(エコトピア人の価値観や習慣の中心的アイデア)は、米国西部で起こっていた実際の社会的実験に見られるパターンだった。 例えば、架空のクリック・スクールは、カリフォルニア州マーティネズ郊外にあるオルターナティブ・スクールで、カレンバックの息子がしばく通ったピネル・スクールに基づいていた。 物語の重要な社会的側面の他にも、カレンバックは小説執筆の際に、様々な思想の影響を受けたことを明らかにしていた。生態学や保全生物学での科学的諸発見、都市計画への新しいアプローチに関する都市エコロジー運動、エイモリー・ロビンスに代表されるソフト・エネルギー運動。「サイエンティフィック・アメリカン」や学術雑誌「サイエンス」誌などの出版物に発表された様々な環境に優しいエネルギー、住宅建設、輸送技術などの研究を基づいていたと、著者は語っていた。 著者のエコトピア概念はハイテクを拒絶しないが、その小説の中の社会のメンバーは技術の「意識的な選択」を示すことを好むので、人間の健康や衛生が保護されるだけでなく、社会と環境の福祉も保護されることとした。それ故にカレンバックのストーリーはビデオ会議の発展や自由な利用も予測していたのは興味深い。 『エコトピア』が執筆・出版された1970年代、数多くの著名なカウンターカルチャーやニューレフトの思想家が、第二次世界大戦後のアメリカを特徴と見られる消費と過剰を声高に非難した。エコトピアの市民は、自然と人間のバランスの探求という共通の目標を分ち合っていた。彼らは「汚れた空気、化学品漬けの食品やばかげた宣伝・広告に文字通り嫌気がさしていた。彼らは自らを守る唯一の道である政治に目を向けた。」20世紀半ばに、「企業は規模と複雑さを増し、市民は自分たちのために存在するといわれる市場が、まだ自分たちに役に立っているのかを知る必要があった。」カレンバックの『エコトピア』は、多くの市民が、市場や政府が彼らが望む形で自分たちに役立ってないと感じている事実を、対象にしている。この本は「アメリカ人の生活の様々な側面の中でも、大量消費と物質主義への異議申し立て」と受け止めることができる。サイエンス・フィクションやユートピア小説の下位ジャンルである「エコトピア小説」は、明白にこの小説に言及している。
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