曲種の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 06:45 UTC 版)
地歌は非常に曲数が多く、歴史も長いため実に様々な傾向の曲が存在する。そこで、楽曲形式だけではなく、様々な切り口で曲種の仕分けが行なわれる。したがって一つの曲でも様々に分類づけることができる。例えば「新青柳」は手事もので京もの、謡ものであり、石川の三つものの一つである。また「松竹梅」は手事もの、大阪もの、祝儀もので十二曲の一つである。すべての流派で使われるわけではないものもある。 楽曲形式に由来するもの三味線組歌(小歌曲をいくつもつなぎ合わせて作った曲群、またそれに倣って作られた曲群。現在ではごく一部の系統にのみ伝承されている地歌最古の曲群) 長歌(一貫した内容を持つ曲群。長い曲が多い) 端歌(雑多な曲群。短めの叙情曲が多い) 歌もの(手事ものに対し、歌のみ、もしくは手事はあってもごく短くあくまでも歌に重点が置かれた曲群) 手事もの(本格的な手事を備えた曲群) 段もの(本来箏曲の曲目) 砧もの(箏曲「砧」より移入しそれから発展した曲群) 器楽曲(歌が付随せず楽器だけで奏される曲。段もの、砧ものも含まれる) 取材先、移入元に由来するもの謡もの(能の詞章を一部抽出し、ほとんどそのまま歌詞とした曲群) 半太夫もの(浄瑠璃の半太夫節から移入された曲) 繁太夫もの(浄瑠璃の繁太夫節から移入され、またそのスタイルで作曲された曲群) 内容、曲調に由来するもの作もの(滑稽な内容を持つ曲群。手事のある曲が多い) 獅子もの(曲名に「獅子」の語が付き、荘重かつ華麗な曲調を持つ曲群。すべて手事ものに属する) 道成寺もの(道成寺に関連した曲群) 恋慕もの(曲名に「恋慕」という語がつく曲群。恋を明るく扱った曲) 祝儀もの(祝儀用に作られたおめでたい曲群) 追善もの(故人の追善用に作られた曲群) 節もの(歌に比重が置かれた曲群) 怨霊もの(怨霊をテーマとする曲群) 尽しもの(主題となる特定の器物や歌枕、地名などの名を連ねて一連の歌詞とした曲群。「何何尽し」という曲名が多い) 作曲された場所に由来するもの。様式的な特徴も含む。大阪もの(大阪で作曲された手事もの) 京もの(京都で作曲された手事もの) 名古屋もの(吉沢検校とその系統により作曲された曲群) 九州もの(九州系で作られた曲) 教授システムに由来するもの手ほどきもの 許しもの 三つもの 十二曲(大阪で特に大切にされた12曲の総称) 作曲者に由来するもの松浦の四つもの(松浦検校作品中の四大名曲) 石川の三つもの(石川勾当作品中の三大名曲) 宮城曲(宮城道雄の作品群) 用途に由来するもの芝居歌(芝居の伴奏として使われる曲群) 調弦に由来するもの本調子もの 二上りもの 三下りもの 合奏に由来するもの段合わせもの(手事が複数段に分かれている曲のうち、段どうし互いに合奏もできるように作曲されている曲群) 打ち合わせもの(元の曲に対し、合奏できるように作られた別の曲があり、実際に異曲合奏 {打ち合わせ} で演じられるのが普通に行なわれる曲群)
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