日本軍島嶼防衛戦術の改善
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「サイパンの戦い」の記事における「日本軍島嶼防衛戦術の改善」の解説
大本営はサイパンから報告された戦訓を元に、1944年7月20日に戦訓特報第28号を発行し全軍に通知した アメリカ軍の上陸が従来と違い、太平洋艦隊の主力による激しい砲爆撃で防御の核心的要点を壊滅させ、一挙の攻略を企画した 作戦距離が飛躍的に増大した 機動部隊とは別の、上陸支援を主任務とする戦艦を主力とした有力な艦隊が存在する 敵の揚陸速度は迅速で、わずか10時間以内で一個師団が上陸完了する 夜襲を行えば照明弾により白昼化して艦砲により阻止砲撃が行われる ことなど、アメリカ軍の新たな上陸戦術の特徴を説明し、今後の島嶼防衛戦の留意すべき事項として下記が説かれた。 今後の島嶼防衛は制空・制海権は圧倒的にアメリカ軍側にあるものという最悪の場合の前提が必要 友軍の地上兵力の増援は期待せず独力戦闘を行う 築城(陣地構築)の教育の必要性の認識 上陸準備の艦砲射撃は一万〜二万トンに及び想像以上である 以上を踏まえた今後への教訓は下記の通り徹底された。 砲爆撃対策と対戦車戦闘は対米戦の運命を決する二大項目である 戦車には砲撃と肉弾戦が有利 縦深陣地は絶対に必要、複郭陣地も準備必要 熾烈な砲爆撃特に艦砲射撃に対し、築城により兵力・資材をなるべく貯存して、敵に近迫して白兵戦に持ち込む訓練を行う 砲爆撃により、幹部の死傷者が増え指揮組織が崩壊した時に対する事前対策、特に中隊長級指揮官の統率力の強化 戦況が切迫してきた際は直接戦闘に関係ない土木作業(飛行場設営など)に無用な人力はかけず、陣地構築に集中する。 この戦訓はこの後のペリリューの戦い、硫黄島の戦い、沖縄戦に活かされる事となった。
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