日本のパン粉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/21 18:28 UTC 版)
日本では、食パンを利用する「生パン粉」が生み出され、それが豚カツやフライ料理の揚げ物を使用する洋食に適していたため、生パン粉が普及して主流となった。生パン粉はフライに用いると、揚げ油の中で大粒のパン粉に含まれる水分が素早く油と入れ替わり、細かい気泡の働きでサクサクとした軽快な食感となる。これが人気を呼び、エビフライ、豚カツ、コロッケなどといった様々な日本独自の料理が生み出されていった。 生パン粉は保存性に難があった事から、これを乾燥させて保存性を高めた、目の荒い乾燥パン粉が生まれた。日本で最も一般に流通しているパン粉は、この種のものである。原料となるパンの焼き方によって、一般のパンと同じくオーブンで焼いた焙焼式パン粉、生地に直接交流電流を流して焼いた電極式パン粉(電気パン)、イーストの代わりに膨張剤を加えて平たく伸ばし高周波で焼いたブレダーパン粉に大別される。また、業務用には揚げ色をよく見せるために着色したパンで作るカラーパン粉も用いられる。 こうした、欧米伝統のパン粉より粒の大きなパン粉は、「日本スタイルのパン粉 (Japanese style breadcrumbs)」として日本国外にも知られており、「panko」 の名で流通している。欧米文化圏のアジア系食料品や大型スーパーマーケットでも入手でき、料理番組や料理雑誌で日本風のパン粉を使った料理も紹介されている。また、アジアでは生パン粉が好まれる傾向がある。オックスフォード英語辞典では、2012年5月の改訂で Panko を英単語として採用した。クラフト・フーズ・グループの調査によると、キッチンに常にパン粉を置いているアメリカ人は、2008年の5%から2012年は17%と急速に普及している。 日本では料理によってパン粉の粒の大きさを使い分けることがある。粒の大きさによって荒目、中目、細目に分類できる。荒く砕いたパン粉(荒目)は油を適度に含み揚げ色がよくつくため、揚げ物に使うのが最適であり、細かく砕いたパン粉(細目)は、滑らかな舌触りを生かし、また程よい焦げ具合からの香ばしさが出、淡泊な素材の味を補うことができるために、ハンバーグ、肉団子、ミートローフなどといった肉料理のつなぎや、カツレツのような焼き物に使う。中目は、汎用タイプで、調理全般に使用できる。パン粉を用いて揚げ物をする際、軽く霧吹きなどで湿らせておくと歯ごたえのいい衣になる。
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