日本におけるMG151(マウザー砲)
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「MG 151 機関砲」の記事における「日本におけるMG151(マウザー砲)」の解説
MG 151は同盟国軍である日本陸軍航空隊にも800挺が約40万発の弾薬と合わせて潜水艦による隠密輸送で輸入され、「マウザー砲」の呼称で三式戦闘機「飛燕」一型丙に搭載された。 マウザー砲は、1943年12月初旬に当時の最前線であるニューギニアのウェワクに展開する飛行第68戦隊や第78戦隊、上級部隊たる第14飛行団の各「飛燕」装備部隊に、補充機を兼ねたマウザー砲装備済みの新鋭機十機と、予備砲を含む現地機への取り付け改造用の砲が九七重爆3機にて工務員同伴で空路にて送られ、階級を問わずその部隊のエース・パイロットたる操縦士達に優先的に割り当てられた他、飛行第244戦隊や第56戦隊といった日本本土防空部隊にも配備された。 日本におけるマウザー砲の評価としては、「B-25爆撃機の左翼がバタンとへし折れた(内翼部に命中時)」「貫通砲弾の出口に直径1m程の大きな風穴が空いていた(撃墜し海岸に不時着した敵機を見て)」といった、従来の日本陸軍機装備の航空機関砲を凌駕する強力な破壊力、初速も高く、狙ったところに一直線に飛ぶ弾道性能や命中率の良さ、装填不良や二重装填も計器のボタンを押すだけで回復し、油圧式でなく電気式による信頼性の高さから、歴戦の操縦士は勿論、全操縦士達から異口同音に絶賛され、数に勝り防備も固いアメリカ軍戦闘機や爆撃機相手に遺憾なく力を発揮した。 なお、日本海軍も1943年末にMG 151/20を2挺輸入したものの、この時期にはMG 151/20と(あくまでもカタログデータ上ではあるが)遜色ない性能を有する九九式20mm二号機銃四型の量産が軌道に乗りつつあり、九九式20mm二号機銃四型の改良型やより強力な五式30mm機銃の開発も進んでいたためか、陸軍ほど興味を示さず、実用機に搭載した記録も残っていない。 先述の日本陸軍に正式に供与されたマウザー砲の整備は、飛行戦隊に付属する武装担当の整備班の手に負える物でなく、元より現地の整備隊で迂闊に分解する事すら厳禁とされていた。また、MG151のもう一つの特色である薄殻榴弾は、当時の日本の金属プレス技術では模倣できず、使用されていない。なお、薄殻榴弾は日本だけではなく同様にMG151をコピー製造したアメリカでも生産はおこなわれていない(後述)。
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