日本での「スポーツ」の意味合い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 16:48 UTC 版)
「日本のスポーツ」の記事における「日本での「スポーツ」の意味合い」の解説
英語のsports(sportの複数形)をその音からカタカナでスポーツと表現される。sportという単語は江戸時代後期の英和辞典に見られるが、スポーツという日本語が定着したのは大正年間のことである。 明治以来の富国強兵、殖産興業の国策を執っていた日本では、遊び戯れるという意味のスポーツが公には肯定されず、国民体育としてスポーツが認識されるようになり、昭和初期には原義とは異なった価値観で発展を遂げた。 なお、体育(すなわち体の発育を促す教育)において結果的に運動を伴う「スポーツ」が頻繁に用いられる為、体育=スポーツ、または肉体運動=スポーツという価値観が強く根付いている。 その為、通勤に自転車という交通手段を使用する事をスポーツと称したり(ヨーロッパでは1900年代前半からロードレースが行われている。)、体脂肪の燃焼の為に競技・遊戯性の無い運動(単純なエアロビクスダンスなど)をした事をスポーツと称する場合も見られる。(エアロビクスダンスは、正式にルールに則った競技性のあるスポーツが存在する。) 従ってマインドスポーツと言われ、欧州では新聞のスポーツ面でチェスや囲碁が扱われ、国際スポーツ大会の種目になっており、五輪の公式競技採用を目指しているという事実に対しては、日本では違和感が強い。例えば、学校のクラブ活動で「体育部」には囲碁部は入らないが、スポーツ部であれば囲碁部が該当する。逆に体育の授業にはスポーツに該当しないものもあり、体の発育を目的に行う、競技・遊戯性の伴わない鉄棒・床・平均台を用いた運動はスポーツではない。これらをスポーツにした物は体操競技である。 このような歴史から、ボウリングやカーリング、射撃、けん玉、ダーツ、雪合戦や鬼ごっこ、テレビゲームなど、元となった英語ではスポーツの範疇に含まれるものでも、日本人が想像するスポーツの印象からは外れるものが多く存在する。アジアオリンピック評議会がアジア室内競技大会の種目としてコンピュータ・ゲームを「eスポーツ」として採用する事を決定した際には、JOC(日本オリンピック委員会)でさえ「そもそもスポーツと言えるのか」と違和感を示した。 俗に体育会系と称される価値観・属性が、著しくスポーツマンシップを逸脱する場合があるのもこの両者が本来別物であり、発展した背景が異なっている為である。
※この「日本での「スポーツ」の意味合い」の解説は、「日本のスポーツ」の解説の一部です。
「日本での「スポーツ」の意味合い」を含む「日本のスポーツ」の記事については、「日本のスポーツ」の概要を参照ください。
- 日本での「スポーツ」の意味合いのページへのリンク