日本での「満洲」「満州」表記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 13:15 UTC 版)
「満洲」の記事における「日本での「満洲」「満州」表記」の解説
上記の通り、元来の表記は「満洲」(旧字体:滿洲)である。しかし、現代日本では(とりわけ満洲国に言及する際に)「満州」の表記も用いられている。これは一般的には当用漢字・常用漢字に「洲」がないためとされるが、「満州」が中国の一部であるという点を強調するためと説明されることもある。また、「満州」表記が広く用いられるようになったのは戦後であるが、それ以前にも用例が無いわけではない。例えば、間宮林蔵の『東韃地方紀行』(1810年)、満鉄歴史調査室の『満洲歴史地理』第1巻(1913年)では「滿洲」と「滿州」が混用されている。また、日本海軍の通報艦の満州は、ロシア語で満洲地域を表すマニジューリヤ(ロシア語: Маньчжурия)を改称したものであるが、大正9年8月13日の官報や昭和5年度海軍省年報では「滿州」と表記されている。 一方で、清朝史研究者を中心に、「満州」表記は誤りであり「満洲」の表記を用いるべきという主張がなされている。その根拠は以下の通りである。 固有名詞であるため、別字で代替すべきでない(満/滿と異なり、州/洲は同字の旧字体/新字体ではない)。現に「八重洲」「洲本」「長洲一二」などは「洲」のまま表記されており、満洲のみ「州」に置き換えるのはおかしい。 五行の水徳を意識してさんずいのつく「洲」を選んでいる(前述)のだから、さんずいのない「州」を用いるべきではない。 「満洲」は「杭州」「蘇州」などとは成り立ちが異なるのであるから、中国の地名だから「州」でいいと考えるのは誤っている。 実際に、近年の中国史の概説書の多くは「満洲」表記を用いている。
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